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雑誌「明日へ選択」10月号から
「デタラメ護憲論」
高崎経済大学教授八木秀次インタビュー

(私のコメント;
憲法改正論議の現状を解説したものです。
新聞テレビの護憲論は、あまりにいい加減な話ばかりだが、
筆者はそれらと以前から戦ってきた人だ。
マスゴミやそこで論陣を張るサヨク憲法学者がどんな汚い手を使っているか、
わかりやすく説明しています。

なお、括弧内は私のコメントです。
今回は憲法に関して第五回目です。)

(要約引用開始)

***聞き手***

自民党は昨年の春に憲法改正草案を発表しました。
しかし憲法改正を目指す安倍政権に危機感を抱く護憲勢力は、
この改正草案に対する徹底批判を展開しております。
そこでこうした最近の護憲論の実態や憲法論議の現場がどのようなものかお聞かせください。

***八木教授***

議論の勢いという点では護憲論が勝っている、というのが私の率直な感想です。
しかしその護憲論の中身はみんな完全にデタラメです。
そんな主張がまことしやかにしかも上から目線で語られている。
「そもそも憲法とは何なのか自民党は何もわかっていない。」
「お前たちは立憲主義を全く理解していない。」
というような按配です。

彼等は実は、「もしかすると国民世論は第9条改正に賛成するかもしれない」
という恐れを持っていて、
具体的な9条改正の下段に入らせないためにデタラメな、そもそも論を強調している
のではないかとも思われます。

そうしたいい加減な護憲論にくみするメディアの方が数が多いしい、
大学教授や弁護士などきちんとした肩書のある人たちが、
改憲すると大変なことになると言っているので
国民はどうかなぁと思い、言論状況は憲法改正反対派が増えてきている。

公立中学に通っている子供が校長から「憲法が改正されると君達は自衛隊に入らなければいけなくなる」
と言われたそうだ。
マスメディアのデタラメ護憲論がいろいろなところで悪影響を及ぼしている。

***聞き手***

自民党改憲草案を批判する伊藤真弁護士は色々なところで、
「憲法は国家を縛るルールだ」とあちこちで主張しているが。

***八木教授***

憲法は「国家権力を縛るもの」だとか「憲法は国民を縛るものでは無い」と言う議論が目につくが、
そんな馬鹿な話は無い。
憲法には国家権力を縛るという性格はありますがそれだけではなく、憲法は国民に様々な義務を課し、
国民を縛っています。
また憲法は国家権力を縛るものであるが故に国民には憲法尊重擁護義務を課していないのだと
反対派は言っています。
これもバカな話です。
確かに日本国憲法では憲法尊重擁護義務の対象に国民が入っていませんが国民が憲法を尊重擁護するのは
理の当然なので入れなかったというのが昭和20年代の東大法学部の見解です。

***聞き手***

つまり全くの嘘がまことしやかに流布されていると、
***八木教授***
そうです。伊藤真弁護士は「近代立憲主義国家は憲法の中に自国を美化する歴史文化伝統を書き込もうとはしない、
それは国民の間に対立が生じてしまうからである。」
と述べている。
これも嘘です。
歴史や伝統については触れないのが立憲主義だと言う方がそもそも間違っているのです。
そもそも憲法や法は歴史の所産です。
大元を突き詰めていけばその国の歴史や伝統、つまりご先祖様たちの意思によって縛られるということです。
このように考えればその国の歴史や伝統文化について触れるのはむしろ立憲主義の王道であることがわかります。
そうした要素がなければその時々の国民の意思だけでどうにでもなる危険があるわけですから、
権力を縛るという立憲主義の発想からしても伊藤氏が言っていること外れている。
この辺も政治思想史の良いのかなと思います。

***聞き手***

憲法に国民の義務をやたらに書き込むのは立憲主義に反するといった主張も目につきますね。

***八木教授***

国民の義務は日本国憲法にも書かれていますよ。
そもそも憲法とは政府と国民のの間で何ができて何ができないかということを文章で確認しあったものです。
国民主権を謳っている以上国民は国を支える立場でもあります。
国民として何をしなければならないかと言うことを規定するのは当然です。


***聞き手***
改憲草案では人権に対する制約を「公益及び公の秩序」としているが、
これを反対派は憲法改正すると統制社会になると批判しています。

***八木教授***

これも全くのデタラメです。
この文言は国連の国際人権規約から取り入れています。
この規約は表現の自由、集会や結社の権利についても法律で制限することを認めています。
日本のような先進国が憲法改正をするのは国際社会の監視体制の中で行うような物ですから
国際的な基準を無視できない。
公益及び公の秩序と言うのは人権の制約原理に関する国際的なスタンダードに過ぎません。
この国際人権規約の中には国の安全や道徳の保護までるわけですから
自民党の草案はまだまだ不十分といえます。

***聞き手***

反対派は「公の秩序」の文言を憲法に入れると、
その時々の政府によって恣意的に解釈されて人権が抑圧されると批判しています。
伊藤弁護士は反原発デモが警官に阻止される可能性があると非難しています。

***八木教授***

全くの被害妄想です。そんな事はありえません。
なぜなら現行憲法下における判例の蓄積があって公共の福祉については
国際人権規約にかなり近い解釈をしてきている部分があるからです。
そうした判例の積み重ねを無視して新しい憲法を作るわけにはいきません。
その意味でも統制社会になるとか人権が不当に制約されるといった主張は完全なデマだと思います。


***聞き手***

憲法改正の手続きを定めている96条の改正については、
安倍政権が改正を掲げたことで反対論が噴出しました。

***八木教授***

日本だけが特別に改正のハードルが高い訳では無いとか他の国もみんなハードルが高いなどと
憲法学者が言っています。
これもデタラメです。

日本の改正条項には4つの縛りがあるのです。
まず二院制であること、そして発議が両議院の総議員数であって、しかも3分の2であること、
さらに国民投票で過半数を得るということです。
ところが反対派はそうした事実を隠して例えばアメリカの場合上下両院の3分の2の賛成で発議して、
さらに50州の州議会の内、 4分の3の承認が必要だ、となるので日本よりもハードルが高いといいます。
しかしアメリカは国民投票がありません。
しかもアメリカの場合同じ3分の2でも総議員数ではなく定足数の3分の2ですから
実際は日本よりハードルは低い。

反対派は都合の良い事実だけをつまみ食いして他国の憲法も改正は難しいと宣伝しています。
だいたい護憲派の権威的な存在だった芦部信喜東大教授ですら96条については
他国に比べて硬性の度合いが強いと言っていた。
だから素晴らしいのだと彼らは言いたいのかもしれないけれども、
いずれにしても4つの縛りに触れずに他国もみんなハードルが高いというのは
詐欺みたいな物言いです。

***聞き手***

96条の改正は裏口入学だ、という批判もありますね。

***八木教授***

何ているんだから意味不明ですね。
いわば正面玄関から同条を改正しようと言っているわけですから裏口入学では全くない。
やはり最初に言ったように今の最大のテーマである九条改正に手をつけさせないために
憲法論議の入り口で色々文句をつけて改正論議そのものを封殺しようということでは無いのでしょうか。
***聞き手***
9条改正については伊藤弁護士などは戦争をしない国から戦争が出来る国に変わることだ、
と盛んに言っていますね。

***八木教授***

そもそも自衛隊を国防軍に再現したりする狙いは何かといえば尖閣問題に象徴される中国の脅威に対して
相応の抑止力を示すことによって戦争避けようと言うことです。
国防の強化が戦争に直結するという考え方は社会党日教組が入っていた軍靴の音が聞こえる
と全く同じ発想です。

今の体制のままだと中国の軍事的の脅威を呼び込むことにもなりかねません。
仮に中国に攻めこまれた場合よほど犠牲が大きくなるでしょう。
その意味で9条改正反対論は実に無責任の主張だと思いますね。

かつてソ連の脅威があった頃、ソ連が攻めてきたら降伏するが良い、
とか、それはソ連からの留学生だと思え、というようなことを言う憲法学しまいました。
そんなことできるはずがないわけです。

***聞き手***

国防軍の新設や国防の義務が徴兵制の復活につながるというようなことも言われています。

***八木教授***

国防の義務と徴兵制は全く別の話です。
それをあえて混同させて恐怖心を煽っている。
そもそも現代の戦争は非常に高度で特別な訓練を受けた人でなければ戦力になりません。
かつて徴兵制があった国々も徐々に徴兵制をやめて精鋭の志願兵制に移行しているのです。
ところが日本の子供たちは学校で君たちは兵隊に取られるんだよ、
というようなデマを聞かされている。困ったものです。

***聞き手***

こうしたデタラメな反対論があふれている現状をどう打開すれば良いとお考えですか。

***八木教授***

やはり徹底的に批判していくことが大切だろうと思います。
嘘やデタラメでも100回聞かされればなんとなくそんな気になりますし、
実際そうした影響も出始めている。
私は自民党にもきちんと反論すべきだと言っているのです。
ここは逆プロパガンダの戦略を立てていかないと憲法論議が終わってしまう恐れがあります。

***聞き手***

反対派は9条改正は戦前回帰だ、とか戦後国際秩序の否定だ、とかといった歴史認識を
絡めたデマを流布しています。

***八木教授***

憲法改正は戦前回帰でもなければ戦後の国際秩序を変えるものでもないのです。
むしろ今のアジアの国際秩序に即した我が国の輪郭をはっきりさせることに他ならない。

日本が戦争に負けて連合国が主導して作られた国際秩序がポツダム体制です。
しかしこのポツダム体制は東西冷戦によって崩壊し、
変わってサンフランシスコ体制が誕生するわけです。
この体制の下で日本は主権を回復し国際社会に復帰したのです。

その意味で日本国憲法ポツダム体制の維持装置であって
サンフランシスコ体制を前提としたものでは無い。
だから現行憲法はサンフランシスコ体制とは合わない。
それで自衛隊や日米安保との齟齬がずっと論議されてきたわけです。

注目されるのは最近中国がサンフランシスコ体制を壊して
ポツダム体制に戻ると言うことをいっていることです。
李克強首相も習近平主席もアメリカなどに行き歴史認識問題に絡めて
日米分断を図りつつポツダム体制に戻そうとする発言をしています。

一方社民党の機関紙の昨年12月号に反対派の浅井基文氏が
こうした動きと重なるようなことを書いています。
「サンフランシスコ体制に引導を渡し、ポツダム体制を東アジアに構築しなければならない。
そのためには日米安保条約を終了させ、
日本国憲法を生かしきる国に生まれ変わらせることが前提となる。」

要するにポツダム体制と日本国憲法は同じものでありここに戻れと言っているわけです。
反対派の主張と中国の動きは呼応するわけです。
ですから逆に9条3項の改正は日本がポツダム体制から完全に脱却して
名実ともにサンフランシスコ体制の一員になるということを示すことになる。

そうした視点を踏まえることが改憲派にとっては得策だと思うのです。
つまり憲法改正はあくまでサンフランシスコ体制を維持することを明確にする措置であり、
それはとりもなおさず自由、民主主義、法の支配、人権、市場経済といった価値を
維持することに他ならないということです。

まずは憲法改正論議そのものを封殺しようとしている護憲派が言っていることの
デタラメぶりを徹底的に批判することが必要です。

 (要約引用終了)

(私のコメント;)

護憲派という言葉は使うべきではないと思います。
反対派と言うべきで、彼らが守ろうとしているのは憲法でなく売国反日なのです。
自民党は改正草案は作ったが宣伝戦で完全に負けている。
だからどんな良いものを作っても意味がない。
反対派が信奉する共産主義は現実から遊離した理想主義なので宣伝というものが非常に重要だ。
だから彼ら反対派は宣伝戦に長けている。
彼らにとって宣伝に勝てば内容などどうでもよいのだ。
自民党はそういうことが全く分かっていないというのはどうも不思議だ。

(私のコメント終)