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【一日一冊】★★★☆☆「自分を救う幸福論」ショーペンハウアー
(見出し)
本ナビ(3653目) ⇒ http://1book.biz/
「自分を救う幸福論」アルトゥル・ショーペンハウアー、かんき出版

(引用開始)
ショーペンハウアーはドイツの哲学者。
 ■ショーペンハウアーはドイツの哲学者。
 この本の幸福論とは、
 日本の普通の「生き方」のように思えました。
 人生はドラマ。
 自分の運命と能力に身を任せて
 生きるということです。

・人は、社会的地位や富の差によって、
 それぞれの役割を演じている・・・
 その中身は各自違っていても、・・・
 誰もが同じ愚か者である(p17)

■幸福になるためには、
 自己に満足すること。

 明るくすること。

 健康であること。

 人の評価を気にしないこと。

 確かにそんなものでしょうね。

・身近なことにとらわれて、
 重要なことを見逃すな(p41)

■頭の良い人は、周りがバカに見えても、
 それを直そうとはしないようです。

 なぜなら、人は変わらないし、
 直そうとすると機嫌が悪くなるからです。

 ■この本で私が共感したところは次のとおりです。

アリストテレスの言葉
 「幸福は、自己に満足する人のものである」
 は、何度繰り返してみても正しい(p1)

・明るい性格こそが最も尊い(p10)

・毎日2時間屋外で活発な運動をしたり、
 冷水浴などのトレーニングを行う・・・
 われわれの幸福の8割は、
 健康かどうかにかかっている(p11)

・他人の思惑を重視しすぎることは、
 幸福、つまり、心のやすらぎと
 自主独立の妨げになる。(p29)

・自分にどの程度の素質があるかということは、
 経験してみるまでわからない(p109)

・人の意見には反論しないほうがよい。・・・
 人の感情を害するのは簡単だが、
 人を矯正するのは、相当難しい。(p87)

・相手より自分のほうが頭が良いと
 気づかせてはならない(p97)

(引用終了)

(アマゾンの書評引用開始)

性格の明るさと、等身大の生き方が大事だ、
地位、名声、資産は幸福をもたらさず、
むしろ幸福の9割は健康にありとまで言っている。
他人からの評価も関係がないと言っている。

私が一番気に入っているのは、他人の幸福は
遠目から素晴らしく見えるにすぎないものだ、
という指摘だ。
森を遠くから見れば美しいが、中に入ってみれば
それほどでもない、というたとえをしている。
ショーペンハウアーは、悲観主義者として有名であるが、
この本を読むとそれだけではないことがわかる。
人生は考え方ひとつで見方が変わってくる、とか、性格の明るさが一番大事だ、
人間に必要なことは同情心だ、などである。

(アマゾンの書評引用終了)

(私のコメント)
昔、旧制高等学校の学生が歌う「デカンショ節」というのがあったが、
デカルト、カント、ショーペンハウエルの名前を集めたもの、と言われた。

アルトゥル・ショーペンハウアー
(Arthur Schopenhauer、ショーペンハウエルとも言う。)
ポーランド生まれで1788-1860哲学者です。
日本で言えば、松尾芭蕉の時代に生まれ、活躍したのは文化文政時代、
つまり幕末の前夜である徳川家斉の時代だ。
アメリカの星条旗の星の数がまだ22しかなかった時代の人だ。
フランスでは印象派の画家が活躍し、ジャポニズムと言われて浮世絵などが賞賛されていた頃。

この人は仏教哲学、インド哲学を研究した人で、その後の西欧思想に多大な影響を及ぼした。
フリードリッヒ・ニーチェリヒャルト・ワーグナー、など広範囲に弟子がいる。
弟子と言っても直接の弟子ではないが、兎に角影響された人は多い。
ヒトラーフロイトユング、ヘッセ、ウィトゲンシュタインアインシュタイン
フーコー森鴎外等々20世紀の西欧各分野の人々に影響している。
ただ、同時代のキリスト教から出た哲学者のヘーゲルには負けてしまった。

何故そんなに影響があったかというと、一言で言えば植民地の文化が西欧を変えたのだ。
西欧は自分たちが世界で一番進んだ文明で、だから世界を植民地にしていいのだ、
と思っていたが、東洋に進出したら、そうではない、ということに気がついた。

特にキリスト教文明がフランス革命などで動揺している時だったので、
仏教哲学などの影響は大きかった。
ヨーロッパの文明は植民地を通じて世界に伝播したが、逆に西欧も植民地の影響を受けて変質した。
その変質の魁となった哲学者だ。

例えば、キリスト教の信奉する造物主に唯一出来ないことがある。
それは自殺することだ。
こういうびっくりするような思想の逆転が西欧文明を襲ったのだ。

この人は哲学者の例に漏れず、老年まで学問的には認められず、
親の遺産で食べてゆき、ろくな職業についていない。
ただ、当時人気絶頂だったヘーゲルに対抗して大学で講義をして人が集まらず、
やめてしまっただけだ。
有名なのは自殺論だが、内容は読んでいないので、よく知らないが、
「死んでしまったら意味が無い」というような結論になっているらしい。

名言集には面白いものがある。

http://systemincome.com/main/kakugen/tag/
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「リーダー達の名言」から

・どのような不幸に際しても、何よりも強い慰めとは、
自分より、もっと不幸な他の人たちを見ることによって得られる。

・強い人間は自分の運命を嘆かない。

・どのような不幸に際しても、何よりも強い慰めとは、
自分より、もっと不幸な他の人たちを見ることによって得られる。

・人間は、金を貸すことを断ることによって友人を失わず、
金を貸すことによってたやすく友人を失う。

・富は海水に似ている。飲めば飲むほど、のどが渇くのだ。
名声についても同じことが言える。

・いま持っている財産は、
これから起こるかもしれない害悪と災害に対する防壁とみなすべきであり、
世の快楽を手に入れる許可証とみなすべきではない。

・普通の人々は時間をつぶすことに心を用い、
才能ある人間は時を利用することに心を用いる。

・多く笑う者は、幸福である。多く泣く者は、不幸である。


・読書は、他人にものを考えてもらうことである。
本を読む我々は、他人の考えた過程を反復的にたどるにすぎない。
習字の練習をする生徒が、先生の鉛筆書きの線をペンでたどるようなものである。
だから読書の際には、ものを考える苦労はほとんどない。
読書にいそしむ限り、実は我々の頭は他人の思想の運動場に過ぎない。
そのため、ときにはぼんやりと時間を潰すことがあっても、
ほとんど丸一日を多読に費やす勤勉な人間は、次第に自分でものを考える力を失っていく。

(私のコメント終)