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倉山満著「反日プロパガンダの近現代史」

(私のコメント)

この人は物の見方が大変ユニークで面白い。
アカデミックな学者とは違った切り口で話すから大変参考になる。
物事は見方によって随分違って見えるから、
こういう人の話は大変貴重だ。
但し、本人も奇をてらうところがあるから注意が必要だ。

歴史でも人によって捉え方が全く違う。
歴史家は自分の人生で蓄えた基本的な判断基準を持って歴史を見る。
その基準は無意識の中にあるから本人もはっきりと分からないのだ。
歴史家個人は自分自身を中立公平と考えているが、
実はそれぞれ違っている。
読者としては何人かの考え方の違った人の本を読んで初めて物事の輪郭が分かってくる。
又は、信頼の置ける人を選んで読むことが必要だ。

倉山さんの本はそういう点で色々な発見があるから面白い。
ただし、書いてあることをそのまま信じる、ということではない。
やはり自分自身の無意識下の判断基準に照らして違和感がなければ信じる。
誰でも本を読むときは、こういうプロセスになるのだろう。
この違和感を作るのが、教養と言うものなのだろう。
この教養を磨く事が大切だ。

違和感が無ければ信じるのだが、信じるについてはあくまで仮に信じる、
というだけのことだ。
仮に信じていたことが長い時間で色々な検証に耐えてそのまま残れば、
それは正しい、ということになって無意識下の判断基準に加えられていく。
こうして教養が鍛えられてゆく。

こういうわけで倉山さんの本で、教養にインパクトがありそうな、
面白い所を抜粋してみたいと思います。
なお、カッコ内は私のコメントです。

(私のコメント終)

(引用開始)
*序章
日本は戦前から謀略とプロパガンダに弱い。

この理由は7つある。
1.最高権力者である総理大臣の弱さ
組織全体の空気や意見に逆らえない。

山本七平の本「空気の研究」にある通り、
日本は社会全体の空気に逆らえない物がある。
リーダーといえどもそれに逆らえない。
ここが良くも悪くも欧米社会と違う。)

2.官僚機構の無能なセクショナリズムと暴走
日本の官僚機構はボトムアップで決まるから、
一旦流れができると逆らえなくなる。
日米開戦は海軍が40年間「アメリカが仮想敵国です」と言って予算を取り続けました。
そのメンツで今更戦えないとは言えないのでとりあえず開戦した。
単なる無責任な話なのだ。

(上記の通り、海軍が日本を滅ぼしたのだ。
しかし、新聞などによる日本社会の空気と言うものが別に原因としてある。
原因としてあるのだが、それを言うと責任があいまいになるから、
あえて、海軍が悪い、と断言する。)

3.政治家の白痴(バカ)
バカだとどうなるか、完全に空気に支配されてしまう。
マックスウェーバー言うところの「最良の官僚は最悪の政治家である」
を地で行ったのが日米開戦を決断した東条英機である。
有能な官僚ではあったが政治家では無いから大極的な戦争の設計図を書くことができなかった。

4.メディアのデマと煽動
昭和16年までの数年間毎日、朝日を読んでいたらだれでもアメリカが嫌いになった。

(新聞は営利企業だから、そういう記事を書くとよく売れる。
センセーショナルに書けば書くほど売れるから大衆と新聞が共鳴して話が大きくなる。
これは別に日本だけでなく、アメリカも欧州も同じだった。
この点は大衆も反省しないといけない。)

5.国民の諦念(諦め)
お上がも決まったことだ、と言うとそう思い込んでしまう諦めがつよい。

6.正論の封殺
日本は「みんなで決めたこと」が優先されるから正論を議論させるということをしない。

7.スパイの暗躍
プロパガンダというのは大衆煽動して敵国の国民や政府首脳の意識を錯誤させ工作するもの。
スパイが入る込めるというのは本当はその国の側に問題がある。
明治までの日本が立派だったのは元老の指導力と国民国家としての完成度の高さだった。
日露戦争以降ダメになったのは強くて賢いリーダーの不在だった。
学歴秀才が足の引っ張り合いをやって派閥争いに明け暮れた。

ではどうすればいいか。
日本を滅ぼしたいと考える敵国の手口を学んだらいいのだ。
そこで彼らのプロパガンダについて以下の通り研究しよう。

第一章第一節
なぜ日本が敗戦国まのままなのか。
日本を永久に敗戦状態にしておこうと言う3つの仕掛けが、
日本国憲法東京裁判史観日教組による教育だ。
敗戦状態のままだと都合がいいのは誰なのか。
次の通り世の中を四分割にしてみるとわかりやすい。

1.日本国が嫌いで日本政府も嫌い
2.日本国が嫌いだが日本政府は大好き
3.日本国が好きだから日本政府のわるい点をを批判する
4.日本国が好きだから日本政府のわるい点も批判しない

第一の立場は共産主義者を始めとするサヨク学者など
第二の立場は官僚や憲法学者など
第3の立場は良心的な少数派の本物の保守
第4の立場は日本の大多数の人たち

日本が敗戦国のままだと都合がいいのは第一第二の立場の人。
そして洗脳された第4の立場の人も入る。
日本国内のエリートはほぼ全員敗戦利得者の範囲に入る。

(日本以外のアメリカ、中国韓国、も敗戦利得者。
現在の世界秩序は第二次世界大戦の勝敗がそのまま反映している。
世界は日本が永久に敗戦国の立場でいることを要求している。
実際はサンフランシスコ平和条約で戦争を終わらせ対等な国に成ったのだが、
アメリカがシナと結託するようになったのでその図式が崩れた。)

第二節
アメリカのプロパガンダについて、
アメリカは国際法違反で日本に勝った。
原爆投下と婦女暴行、無差別通商破壊と無差別空襲は国際法違反。
真珠湾はだまし討だったというプロパガンダで正当化した。
真珠湾南北戦争の開戦過程は手口が同じ。
同じプロパガンダを繰り返している。

(シナとアメリカはこういうならず者的要素がよく似ている。)

第三節
中国のプロパガンダの特徴について

1.ステレオタイプの情報を豊富に迅速に散布する
2.情報の単純化と反復
3.事実の誇張と捏造
4.宣伝事項の抽象化と権威付与による効果増大

シナのプロパガンダは、敵である日本を悪魔化することに長(た)けている。
悪魔はキリスト教の概念だから日本人には理解できない。
日本には悪魔がいない、日本人は悪魔と言うもの想像できない。
ゴッドでも悪魔でも西洋人は不可知なものを設定するのが得意ですが、
日本人は不可知なものを想像するのは苦手ですし、
絶対というものを想定するものも苦手です。

悪魔は改心できないし、造物主は自殺できない。
新井白石とシドッチの対決の話によく現れている。
シドッチ「神は絶対だ」
新井白石「それなら神はなんでこんな不完全な世の中を何のために作ったのか。」
シ「神様のお考えなので計り知れず、わからない。」
新「お前がわからないものをなぜ俺が信じなければいけないのか。」

日本人は頭が良すぎて悪魔のような訳の分からないものを想像できない。
しかし西洋人や支那人は自分に逆らったものが悪魔と考えている。
ヒトラーにもいいところがあった、と日本人は考えるが彼らにはそれがない。

新井白石とシドッチの問答は東西宗教文化のぶつかり合いがあって大変面白い。
次のような問答もある。

新井白石「造物主の親は誰か」
シドッチ「造物主に親はいません」
新「親がなくてどうして生まれてきたのか」
シ「わかりません」
新「わからないものを信じろというのか」)

シナは今後どうなるか。
シナ共産党政権は皆が言うように崩壊したりせず、ダラダラ続くだろう。
日中間の問題もダラダラ続けてれば良い。

第一章第四節から第三章第四節まで省略。
第二章は戦国時代のプロパガンダ、
第三章は近代日本のプロパガンダ。

第三章第五節 
日露戦争後の弛緩とマルクス主義の影響。

日米戦争は総理大臣が嫌だと言えば開戦はできなかった。
例えば、アメリカを攻撃しないでオランダ領インドネシアだけ取ってしまえばよかった。
石油さえ抑えれば日本は怖いものなしだったのだ。
正論が通らず、皆の逆らえない空気に従ってしまったのはどうしてか。

1つは日露戦争に勝利した後、軍事も外交もリアリズムを失ってしまったこと。
丁度、この時期に幕末維新の成功を知る志士の時代から学歴エリートの時代に交代していく。
政治に緊張感が失われるとともに知的エリートの劣化が激しくなる。

(学歴エリートは文明的な技術を勉強するのは得意だが、
経験に基づく知恵が無いので現実に対して臨機応変の対応が出来ない。
どうしても理論を現実に押し付けようとする。
理論と現実の間に齟齬が出るが、その齟齬を埋めるには経験知が必要だ。)

そして二つ目はマルクス主義の影響。
若者や幼稚な人はわかりやすい正義を求めるのでマルクス主義に飛びついた。
マルクス主義は薄っぺらい正義に訴えかけ、
彼らの思想的脆弱性につけこんで浸透した。

マルキストは最初の四分類で言えば、「日本が嫌いで日本政府が嫌いな人」のこと。
(「日本が嫌いなくせにとにかく日本政府が好きな人」にもマルキストは沢山居たが、
彼らはマルクスを隠して官僚主義で愛国心を鼓吹した。
近衛文麿などは典型的な人間だ。)

マルキストの手口その一
マルクス主義のモデルは実はイギリスにだけ当てはまるものだった。
ところがそのモデルは、日本ではまぐれ当たりで、かなり当てはまってしまったのだ。
エセインテリというのは部分的に読んで正しいと、その人の言ってることを信じてしまう。
彼らは他の西欧機械文明のようにマルクス主義を、
世界に通用する普遍的で科学的な真理だと信じ込んだ。

(その点でマルクス主義は日本人になじみやすく分かった気分にさせた。
一方で当時の日本は資本主義の腐敗と行き詰まりによる貧富の差が生じていたから、
マルクス主義が輝いて見えた。
しかし、当時の学者は今から見ると、無意味な学問をやっていた。
典型的なのは、「明治維新プロレタリアート革命かブルジョワ革命か」
、というような馬鹿げた論争を
戦後に至るまで続けるという事をしている。)

マルキストの手口その二
マルクス主義は他人を批判する時は正しい。
これはキリスト教も同じ。
当時のイギリスの社会状況から機会の平等より結果の平等だと言われるとみんな納得する。
結果の平等を実現する方法論はマルクスは書いていない。
自分のプランはものすごくいい加減なくせに他人に対するツッコミだけはものすごく精緻だ。
マルクスはイギリスの貧富の格差を強くえぐる。
それがいちいち正しいから全体も正しいと信じてしまう。

マルキストの手口その三

マルクス主義は基本的に大衆蔑視で、単なる権威主義だけだ。
大衆蔑視のエセインテリが最も大衆を煽動する構図になっている。
マルキストは「俺は頭が良いのだから、
俺の頭が考えたことをを皆ひれ伏してきけば世の中良くなる」という。
こういうのを設計主義というか、マルクスを含めて設計はちゃんとできていない。
だからやってみたら失敗する。
そこに悪いことに、日本が好きで日本政府のやることを認めるという大衆がいる。
(この組み合わせが悪かった。)

マルクス主義はエリートに都合がいいので、日本の学歴エリートに受けてしまった。
バカな日本人を指導するのに都合がいい、と彼らは考えた。
マルクス主義は労働者階級が革命を起こすことになっているが、
そんな革命は今まで起きていない。
世界中で起きた共産主義革命は共産主義を信奉するエリートが軍隊などを動かして、
暴力的に起こしたものだ。)

以下の章は要点だけにして省略します。

第4章
世界史におけるプロパガンダ
第一節
四面楚歌の状態こそがプロパガンダの原点。
第二節。
プロパガンダの語源は1622年にできたバチカンの組織から。
キリスト教の宣教とは人殺しつきプロパガンダのこと。

第三節イギリスを世界制覇させたプロパガンダ。

第五章
反日プロパガンダに勝つ方法

第一節ユーゴ紛争にヒントが有る。
弾丸よりキャッチコピー
優れたキャッチコピーはミサイルより威力が上がる。

第二節外国人参政権は外国に日本を乗っ取らせる法案。
しかし、たった一人の新聞記者が記事にしたら反対運動が起きて
法案は潰れた。

第三節北朝鮮に拉致された中大生を救う。
第四節安倍首相と日銀の死闘

(引用終了)