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ブログ「かんべえの不規則発言」

 

(私のコメント)

自分が不幸なのは世の中が悪いとか、他人のせいにするのがサヨクの思考だ。

給料が安いのは会社が悪い、というわけだ。

だが、このブログの話はそれが間違いだ、文句を言う前に自分でなんとかしろ、

ということを示している。

 

車内販売員はマニュアル通りやっていれば時給がもらえるから、

沢山売ることについてあまり関心がないのではないだろうか。

歩合給なのかもしれないが、そこはよく分からない。

車内販売は単純に見えるが、少しの工夫で大きな差が出るようだ。

彼女が工夫しようとした動機は何か興味深い。

 

何より注目すべきなのはカネの問題でなく、本人が自己実現している、と言う事だ。

彼女は工夫によって自分自身の人生を充実させ、有意義な物にした。

そして他の人に幸せをもたらした。

他人の為に役立つことにより、自分も相手も幸せにした。

サヨクは奴隷と支配者の関係で人間関係を捉えるが、

現実はそんな関係でないという一例だろう。

奴隷だと思えばそうなってしまうだけなのだ。

 

企業の側から言っても当然会社は奴隷の支配者ではない。

人というのは企業の道具でもなければコストでもないのだが、

そう考える会社は今の日本には少ない。

従業員を奴隷だと勘違いするブラック企業というものもある。

 

本来は人間が自分の人生を価値あるものにするために会社など中間組織がある。

こういう事は社長から社員まで暗黙の了解事項としてあるべきなのだ。

それが文化、伝統というものなのだ。

 

江戸時代に石田梅岩山片蟠桃など商人学者が活躍した。

こういう人たちからの蓄積が歴史的に伝統を作り、

それが暗黙の行動基準となって従業員を奴隷扱いさせないのだ。

会社も従業員も会社を活かし、自分も活かし、客も活かすのだ。

 

マルクス主義の他が悪いという思想も、

その反対の「資本主義の自由」もこうした人間の本質的自由を破壊する。

人間の人生の自己実現は無視され、

マニュアル通り動くロボットのような人間であることを要求される。

資本主義の論理ばかりが優先され、コストを極限まで下げた家畜のような人間にさせる。

倫理観のない自由資本主義は共産主義と同じで人間を破壊する。

 

国民が豊かに幸せに暮らし、各々の立場で自己実現して人生を有意義に全うする、

そういう社会の為に会社や国家、家族などの組織がある。

そして、そういう秩序の中にしか自由はないのだ。

我儘で放縦な自由は自分の属する組織を破壊するから、

その組織から与えられる自由を失うことになる。

つまり過度の自由は却って自由を破壊する。

 

今の日本人はマルクス的な見方をするから、歴史や文化は自由を阻害するものと思っているが、

実は自由を守るためにあるのだ。

こういう暗黙知のある伝統社会には従業員に自主的な人が現れ、

下記のようなすごい人が現れることになる。

 

これは会社が命令したものでもなければ意図したものでもない。

自然発生的に現れたものだ。

これが文化の力というものだ。

日本が繁栄したのはこういう文化が支えていたからだ。

 

この反面教師がソニーだ。

今度川崎の発祥の地である川崎の本社ビルを売り、パソコン部門を売り、

どんどん解体している。

 

これはこういう日本の文化をバカにしたからだ。

暗黙知の文化を馬鹿にするグローバル志向、合理的志向な社長が続いたので潰れたのだ。

ソニーを見れば文化の大切さが分かるだろう。

 

昔は下記の車内販売員のような社員がうようよ居てソニーを支えた。

そういう人たちをバカにして切り捨てたから会社も潰れたのだ。

 

(私のコメント終)

 

(引用開始)

 

○都内某所で内外情勢調査会の講演会を務める。

長らくお世話になっている担当のSさんに、

「最近、注目されている講師にはどんな人が居ますか?」と聞いてみた。

それというのも、講演の企画をやっている人たちは、誰よりも耳が肥えているからである。

打てば響くように答えが返ってきた。

何と言っても、山形新幹線の茂木さんですね」とのこと。なんじゃそれ。

わしゃ聞いたことないぞ。で、各方面の噂話を総合したものが以下の通りである。

 

○噂の人物は、山形新幹線のカリスマ・アテンダントの茂木久美子さんである。

山形新幹線「つばさ」の車内販売員であった。

これが奇跡的な売り上げをあげるので、

いつしか「カリスマアテンダント」と呼ばれるようになった。

普通の人の売り上げが178万円のところ、彼女は50万円も売ってしまうのである。

もちろん売っているのは、同じ商品である。どうしてそんな差がついてしまうのか。

決め手は「ほんのちょっとの差」である。

聞いてみると、これがなるほど「あっ、そんな手があったのか!」という話なのである。

 

○新幹線の車内販売は、普通、ワゴンを押してやってくる。

目の前を通り過ぎてしまうと、「おおーい」と呼ぶことが気恥ずかしくなる。

「コーヒー飲みたいなあ」と思っていても、タイミングを逃して買えなかった、

てなことがしばしばある。

そこで茂木さんはどうしているかというと、ワゴンを押すのではなくて、

手前に引っ張るのである。つまり、客席に向かい合う形でゆっくり歩く。

これであれば、常に客席と目線が合っている。

客からすれば、ワゴンが目の前を通り過ぎても、「ちょっと」と目で合図ができる。

なるほど、これだけのことで大きく差がつくだろう。

ワゴンは押さなきゃいけない、なんて法はないんだから。

 

○その上で重要なのは回転数である。3時間半の旅程の中で、普通、ワゴンは3往復する。

そこを彼女は7往復を目指す。

それだけ頻繁に通れば、販売機会はそれだけ増えるわけである。

ではどうやって頻度を上げるか。

「釣銭を渡す時間をセーブする」というのがコツで、

お札をもらった瞬間に釣銭が出るようにする。

これによって、他人の倍以上の回転が可能になるんだそうだ。

 

○さらに茂木さんは、乗客一人一人を見ながら、何をやっているかを観察する。

例えば、パソコンに向かって仕事をしている人が居るとする。

でも、1時間後には疲れているかもしれない。ゆえに1時間後に通った時には、

コーヒーなりチョコレートなりが売れるかもしれない。

その上で、乗客とこまめにコミュニケーションを取る。もちろん山形弁で。

そういうきめ細かな対応が、売り上げ増につながるのだという。

 

○言われてみれば、ひとつひとつはごく当たり前のことだけれども、

なかなか気づかないことばかりである。

彼女の講演の演題は「買わねぐていいんだ。」であるとのこと。うーん、これは聞いてみたい。

 

(引用終了)