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三橋貴明ブログ「新世紀のビッグブラザーへ」


(見出し)
「グレーゾーン」
(引用開始)

(前略)

日米安保第五条には、先日、わたくしが指摘した「自国の憲法上の規定及び手続に従って」以外にも、
一つ、大きな問題(というか「現実との乖離」)があるというご指摘を受けました。
実際。本件については報道も出ています。
 
***(中略)

今回のポイントは「一方に対する武力攻撃」の部分です。
すなわち、日米安全保障条約は「日本(もしくはアメリカ)への武力攻撃」が前提になっているのです。
 

 それでは、中国が尖閣諸島に対し、「武力攻撃」ではない侵略行為に及んだ場合には?
 日米安保条約は適用されるのでしょうか。
 

 具体的な手法としては、たとえば、中国が、
 「漁民に扮した軍人(等)を一万人、漁船千隻に乗せ、尖閣諸島に『緊急避難』させる」
  といったケースです。
この種の「グレーゾーン」な事態は、日米安保条約第五条でいう「武力攻撃」に該当するのでしょうか。
恐らく、しないと思います。
 

 結果、日米安保条約は発動せず、中国は魚釣島に漁民(軍人)一万人を避難させ、
そのまま居座る。何しろ、表向きは「避難民」ですので、日本は軍事的な行動がとれないでしょう。
 

 とはいえ、一万人を海上保安庁の「警察力」で排除するのは、これは絶対に不可能です。
強制排除に乗り出し、中国漁民と海保が衝突すると(当たり前ですが、
中国「漁民」は火器で武装しているでしょう)、中国側は、
 「日本は尖閣諸島に緊急避難した可哀想な漁民を、武力で攻撃した!」
  と、国際社会にアピールすでしょう。現実には、海自を出すしかないわけですが、
何しろ相手が「漁民」というわけでは、総理大臣は防衛出動の決断ができない可能性があります。
そうなると、日米安保条約は発動しません。
 

 やがて、漁民たちが魚釣島に小屋を建て、建築物はすぐに木造からコンクリート製に変わります。
こうなると、尖閣諸島を「実効支配」しているのは中国側という話になり、
ますます安保条約第五条が適用されることがなくなります。


***(中略)

そもそも、田母神先生やチャンネル桜の水島社長が頻繁に指摘していますが、
我が国には集団的自衛権以前に「個別的自衛権」がありません。
厳密には、あるのかないのか、よくわかりません。
 

 個別的自衛権とは、国連憲章第五十一条で国連加盟国に認められている権利で、
自国に対する他国からの武力攻撃に対し、自国防衛のために必要な武力を行使する国際法上の権利です。
国際法である以上、日本も個別的自衛権を保有しているように思えますが、
何しろ自衛隊は世界で唯一と言っても過言ではない「国際法で動いていない」軍隊です。
自衛隊ポジティブリストで動く、警察と軍隊の中間のような変な組織なのです。
 

 自衛隊が他国のように国際法で動く「軍隊」ならば、日本は個別的自衛権を有していると断言できます。
上記のグレーゾーン的な尖閣有事に対しても、淡々と国際法に則り対処することができます。
 

 とは言え、現実はどうなのでしょうか。
 

 そもそも、日本のマスコミに個別的自衛権という言葉が登場したことすら、
わたくしは見たことがありません。(皆さんはありますか?)
 

 今回のオバマ大統領の来日を受け、マスコミ的に、
 「オバマ大統領が尖閣諸島日米安保第五条の適用範囲と明言してくれた。日本の外交的勝利だ!」
  などとナイーブ(幼稚)な感想を持つのではなく、
これを機に「日米安全保障条約第五条」「グレーゾーン」「個別的自衛権」について、
日本国民が真剣に考える切っ掛けになればと考え、
今後もしばらく、本問題を取り上げていきたいと思います。


(引用終了)


(私のコメント)
三橋さんの今日のお話は日米安保条約の現実との乖離と、個別自衛権もあるのか、
という疑問ですね。
なるほど、現実は要するに日米安保条約日本国憲法のセットが機能しない事態なんでしょう。
つまり戦後体制のツジツマが合わなくなっているのだ(中野、佐藤先生の本のうけうり)
私の結論だけ言うとツジツマ合わせるのは核武装明治憲法復帰ですね。
三橋さんの話にもどすと、
現状を武装難民を例にグレーゾーンとご説明されているが、
私はそれに付け加えてウクライナ問題が影響しているのかな、と思います。
プーチン大帝はこのグレーゾーンをうまく使って国境を変更してしまった。
世界を仕切っている、と思っていたアメリカの顔をつぶしたのですが、
はっきりしたのはNAT0軍が全く無力だ、ということだ。
NAT0軍が無力ということはアメリカ軍が無力ということと同じです。
つまりグレーゾーンでは世界最強のアメリカ軍は役立たず、なんですね。
その前提に指導者がヘタレということがある。
つまり指導部が逡巡して決断出来ないことがわかった。
まあ、戦費がないという情けない事情もあるのでしょう。
プーチン帝はそれを見抜いて非正規軍と住民投票で国境を変えてしまった。
ケリーさんがが喚き散らしても棍棒を持って無いことが知れているから、
何言っても馬鹿にされる。
アメリカから武力をとったら何が残るのだろう。
その上、移民が大量に入って住民投票すれば簡単に国境を変更出来るグレーゾーンもある。
これも当然のことながらアメリカ軍は無力だ。
もう一つアメリカの無力について付け加えてさせて頂くなら日米安保条約の変質ですね。
米中は去年のオバマ習近平会談以来「新型大国関係」の構築に向かって動いており、
オバマは大統領退任後は北京に住み着くかもしれない。
そういうことが起きても驚かないくらい緊密だ。
「アジアにおける同盟は中国を対象にしたものでない」と議会で国務省の誰だかが証言していますね。
今回のオバマのアジア歴訪でもシナにはものすごく気を使っている。
そもそも日米安保は共通の敵である共産ソビエトを想定したものだからシナは想定外だ。
アメリカと一卵性双生児のようなシナ共産党を敵と想定した軍事同盟はあり得ないですね。
日本から見たらシナを仮想敵としない軍事同盟なんて、そりゃ無いよりましかも知れないがね。
フィリピンは歴史的に準自国領だから今回基地をおくのでしょう。
今アメリカでは「さよなら台湾」というミアシャイマーなどのシナ寄りの論調が増えているそうだ。
それであわてて国防省の誰かが台湾関係法は有効だとか何だとか言い繕っている。
台湾はシナ領にするからフィリピンと日本には手を出すな、ということかもしれません。
両国とも軍人の犠牲で獲得したものだから捨てるとなると軍人が文句言うでしょう。
さて、この事態に日本はどうするか。
安倍さんはTPPで全てアメリカの言いなりになって、属国奴隷国化で対応しようとしているが、
これも日本の現状を見ると選択肢の一つかもしれないが、大変残念だ。
日銀の異次元緩和は米国債を買うためであって日本の景気浮揚のためでないんじゃないか、
という意見もあるが、私はそうかもしれないと思っている。
FRBのテーパリングの肩代わりなのだが、
ここまでやって初めて少しは目を向けてもらえるかどうか、と言う事だ。
奴隷になるのも大変なのだ。
こういうことを悔しいと思い、グレーゾーンであれ何であれ、
シナの侵略を怒る気概が日本人に無いのが本当の危機ですね。

 

(私のコメント終)