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新世紀のビッグブラザー三橋貴明ブログ
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/

(見出し)
「格差を減らせ、とOECDが」

(引用開始)

 

(前略)
 
 OECDが「世界の貧富の格差」を問題視するレポートを出しました。
 

 

『2014年10月4日 AFPBB News 「世界の貧富の格差が拡大、1820年代の水準にまで悪化 OECD
 

 
(中略)


 トマス・ピケティは、「21世紀の資本論」で、現代について、
 「現代は第2のベルエポックに入っている」
  と、表現しています。
 

 ベルエポックとは、フランス語で「良き時代」という意味を持ちます。「金ぴか時代」と表現することも可能です。
 

 要するに、大戦争が起きず、資本効率が上がり、所得が富裕層に集中し、不平等が拡大する時代のことです。
 

 ピケティの主張の「肝」は、ベルエポックの時代は資本利益率が経済成長率を上回る結果、
所得格差、貧富の格差が拡大するというものです。
労働分配率等の話を一旦、脇に置くと、経済成長(GDP成長)を達成すれば、
一応、国民全体の所得は拡大していることになります。
 

 資本利益率とは、投じられた資本から得られる利益の割合ですが、ここでいう「利益」も元を辿ると、
「所得」から支払われます。
配当金や金利の出どころは、国民が働いて生み出した所得なのです。
配当金とは、企業が稼いだ所得の「株主への分配」と言い換えることが可能です。
資本利益率が経済成長率を上回るとは、要するに利益から「資本」に分配される所得が、
全体の所得増加率を上回るペースで増えている、という話になります。
 

 さて、わたくしが問題にしたいのは、格差拡大そのものというよりは、
先日ご紹介したポール・クルーグマン教授のコラムと同じで、
 「所得格差が開くことで、経済成長が阻害されていないか?」
  になります。
 

 クルーグマン教授のコラムにもありましたが、
 「低所得者層を中間層に引き上げる政策と、経済成長率を高めることは両立する」
  のです。
逆に言えば、中間層を低所得層に叩き落とすことで、
経済成長率は(少なくとも先進国は)確実に落ちました。
この辺は、ハジュン・チャン氏の著作などでも明らかにされています。
 

 特に、現在の日本は実質賃金が「絶賛、下落中」であり、
国民の多くが中間層から低所得層に移行していっています。
結果的に、国民は消費という内需を拡大させる購買力を失いつつあるわけです。
 

 安定的な経済成長を達成したいならば、この流れを逆転させる政策を打つべきなのですが、安倍政権は、

 「消費税増税低所得者層の税率が高い)」
 「労働規制の緩和」
 「外国移民受入」
 「法人税の無条件減税」
 「株価至上主義」
  と、国内の所得格差を拡大する政策を推進しています。
 

 安倍総理は10月3日の衆院予算委員会の答弁で、
 「(アベノミクスによる)株価上昇で一部の人たちだけが利益を得るのではなく、
株保有者は資産が増えるので、資産効果としては給料やボーナスが上がったよりも大きな効果があって、
これが消費につながる。
消費につながり、買い物すれば物を作っている人(製造業者)にすればプラスになって、
それが収益になって、それが賃金になっていけば(賃金増になっていく)」
  と、典型的なトリクルダウン的説明をしています。
 

 上記はかなりおかしな話で、何しろ株価が上昇し、キャピタルゲインを得た人は、
別に「儲け」を国内で消費する必然性は無いのです。
何しろ「ぐろーばりずむ」な世界でございますので、外国に投資をしても構いません。
あるいは、将来不安が払拭されていない人は、そのまま預金として貯めこんでしまうでしょう。
 

 念のため書いておきますが、株価上昇の資産効果が「無い」という話ではありません。
資産効果が国内の所得拡大につながるとは「限らない」と書いているのです。
 

 ついでに書くと、株価上昇の資産効果が「いつ」国内の所得増に結び付くのか、
断言できる人はいないでしょう。
それはもちろん、「長期」で考えたら所得が上がるのかも知れませんが、それこそケインズではないですが、
 「長期的に考えると、我々はみんな死んでしまう」
  という話なのです。
 

 株価上昇による資産効果よりも、政府が直接的に国民の所得を増やす財政出動を拡大すれば、
時期は確定します。
さらに、「トリクルダウン(滴り落ちる)」が外国に向かってしまうことも阻止できます。
 

 いずれにせよ、クルーグマン教授のコラム、ピケティの「21世紀の資本論」、
そしてOECDのレポートと、世界的に所得や資産の格差を問題視する傾向が強まってきました。
安倍政権の多くの政策は、まさしく所得格差、資産格差を拡大するもので、
今後の日本の「安定的な経済成長」を阻害する可能性が高いと確信します。
 

 日本の経済成長のためにも、今、安倍政権の推進する各政策に反対の声を上げなければならないのです。
日本は「分厚い中間層」を中心とした経済を取り戻すべきです。まだ、間に合います。


***(後略)

 

(引用終了)


(同ブログのコメント欄から引用)

28. どちらがいい?

グローバリズムが所得格差を生み、ナショナリズムは所得格差を固定化する。
成功すればお金持ちになれる社会と、生まれながらに決っている社会だ。

グローバリズムが良いに決まっている。所得格差は相続税で調整すればいいだろう。
今の日本は、三代限りの金持国家だ。

ちなみに、中国は一代限りの金持国家です。


浅光 2014-10-06 17:12:56

(同ブログのコメント欄から引用終了)

(私のコメント)


浅公さん
グローバリズムが所得格差を生み、ナショナリズムは所得格差を固定化する。
成功すればお金持ちになれる社会と、生まれながらに決っている社会だ。<

そんなに金持ちは良いのですか。
金持ちがいいなんていう価値観を軽蔑する人々だってたくさんいます。
そんな価値観より多様な価値観でも生きていけるのが所得格差を固定したナショナリズム社会ですよ。
大部分の庶民は金儲けの才能なんて持たずに生まれてきています。
みんな実直に勤勉に働いて妻や子を養い、たまに遊びに行けるような収入があればいいのです。
ささやかな蓄えが残ればそれを子供達に相続させて幸せを祈って死んでいく。
子供たちは育ててくれたことや、残されたものに感謝して祖先を敬い、自分も子供を育てる。
成功して金持ちになるなんて何の意味があるのか、とこういう別次元の価値観からは言えるでしょう。
才能もそこそこしか持ち合わせのない庶民にとって、
「生まれながらに所得が決まっている社会」は有難い社会なんですよ。

勿論、金の亡者もナショナリズム社会に居たってそれはそれで構いません。
だがマルクスさんは庶民から収奪したからこそ自金持ちになったのだ、
といってますから彼らに対する妬み嫉み羨み侮蔑はしかたがないでしょう。

また、社長になれる才能のある人は生まれながらに決まっています。
その人はみんなのためにリーダーシップをとればいいのです。
そして、社長は1人で充分で、それより真面目に働く社員が沢山必要だ。
真面目で一生懸命働く社員と社長の所得格差が3倍くらいで固定化されている会社は悪い会社か。
そういう会社は風通しもよく会社に対する帰属意識や愛社心が生まれ会社は発展する。
会社が発展すれば社員の給料も上がる。
グローバリズムナショナリズムの違いは、
一人だけで強欲に金持ちを目指すのか、皆で一緒に金持ちを目指すか、という点ですね。
社長(株主)だけが成功してお金持ちになり、従業員は食うや食わずの安い給料で働く。
グローバリズムは「いいに決まっている」と言えるでしょうか。


国家も同じことがいえます。
所得格差を固定すればパイを増やさなければならないので社会的な責任、同胞愛、が生まれる。
グローバリズム社会は
社会に責任を負わず、伝統文化に敬意を払わず、同胞国民に愛着を持たない人々の集まりだ。
三橋さんの言う「国民が豊かに幸せに暮す」ということが分からない人々ですね。
今日の三橋さんのブログ記事は「成功すれば金持ちになる」社会じゃなく
所得格差を固定して皆が等しく豊かになろうと言っているのです。
「成功すれば金持ちになる」社会とは
逆に言えば成功しなければ貧乏人で、かつ大部分の人が成功出来ない社会のことです。
そんな一部の人達だけいい思いをするグローバリズムを直ちに止めて、
皆が豊かに暮らせるナショナリズムで行こう、と三橋さんは言うのです。
浅公さん、安倍麻生、朝日新聞財務省など日本のエリートは三橋さんの対極に居ますね。

なお、相続税は金持ちに対して何の役にも立たない。
本当の金持ちは儲け方を相続させるから金を持ってかれても平気なのだ。
また、グローバリズムといいながら、相続税だけ国家権力が出てくるのは矛盾している。
本当は相続税の被害者は国から出ていけない庶民なのだ。
それと、親から子への富の相続(私有財産の保護)がなければ共産主義国家と同じなんですよ。
相続税で財産を取り上げて役人が使うのだからますます共産国家だ。
結局「成功すればお金持ちになり、相続税で全部取られる社会」
というのはものすごく殺伐とした弱肉強食の社会で、人がみんなバラバラの砂粒のような社会なのだ。
そんな社会は共産主義として20世紀を通じ実験し、一億人の虐殺の結果を出して失敗に終わっている。
こんな社会が「良いに決まっている」と言うのならモリエールの「守銭奴」を神と崇めてるんでしょうね。
落語の「味噌蔵」もお手本ですね。
健全な庶民はせせら笑ってますよ。
 

(私のコメント終)