http://totb.hatenablog.com/entry/2014/10/23/071033

Think outside the box

2014-10-23

スウェーデンの男女平等イデオロギーの帰結

 


(私のコメント)
スウェーデンと言う国はルター派プロテスタントが多数を占めている国だ。
ニーチェが言うようにキリスト教は造物主が全部作った、と言う教義のため、神の力は圧倒的なものだから却って反発してしまうのだ。
無意識的に神様に逆らいたくなるのだ。
それが人間の理性を神と同等に格上げしてしまう啓蒙思想の隠れた元になっている。
ニーチェはその結果として生まれた西欧近代思想は人々が神を離れ、近代思想の家畜と成ってしまった、というふうに言っている。
平等イデオロギーはその典型的なものだはないか。
皆が平等だったらいいな、と夢想するのはいいが、実際には当然のことながら人は平等でない。
人類始まって以来同じ人なんていない。
そこで平等を達成しようとしたら、同じ服、同じ食事、同じ労働、朝起きてから寝るまでの行動も同じ、なんて事をしないといけない。
子供も大人も老人も女も男もみな同じ服、食事、労働だ。
こんな社会は個性も無いから創造性もない。
競争もないから皆無気力になるだろう。
こういう平等を達成しているのは刑務所だ。
そして、例えば服を例に取れば、子供も大人も同じ服だから当然両者とも着れなくて不満が出る。
そこで平等を貫徹するには監視員と逆らうものに強権的な罰を与えなければならない。
ますます刑務所に似てくるのだが、それをニーチェは人の家畜化だ、といったのだ。
スウェーデンの平等が極端なのは影に宗教があるからではないのか。
逆の意味で宗教に反対する宗教みたいなものだ。
そうでなけりゃ大概はプラグマティズムで現実に合わせ程々のところで止めるだろう。
スウェーデンは移民でも平等を旨とするから民族、人種、言語、文化、伝統、ライフスタイル、宗教を全く無視する。
その結果、今難民とテロで立ち往生している。
平等思想は共産主義金科玉条金看板としたものだが、結局巨大な官僚制度と監視される奴隷のような国民になってしまった。
国全体が刑務所のようなことになり、ソルジェニーツィンが書いた「収容所列島」と言う本に詳しい。
ソビエトロシアが崩壊する前は国民が朝からウォッカと浴びるように飲んで誰も彼も皆酔っ払っていたそうだ。
アル中治療で病院が溢れかえったそうだが、気持ちは分かるし、当然の帰結だろう。
スターリンポルポト金日成毛沢東共産主義はまず中間層知識人を殺した。
そして一般人は限りなく底辺に集められ平等化させられ、後は特権的官僚、つまり刑務所の看守だけになった。

平等というのは法の下の平等とか一定の条件下で公平性を保つためには必要だ。
しかし、人間で有るなら必然的に、人は不平等とそれに付随する競争を受け入れなければならない。
その前提に立って助けあって皆が豊かで幸せになるよう考えるべきだし、昔からそうしてきたのだ。
平等はせいぜい機会の平等に近づくように制度を考えるくらいではないか。
ということは、昔から日本人が暮らしてきた制度を基本にして現代に合うように変えていくのが一番いい。
頭のいいと称する人が考えついた事はどんなにうまそうな話でも慎重にしたほうがいい。
今日本は「抜本的構造改革」なんて安倍と安倍政権の官僚、自民党が言うがスウェーデンの二の舞いだろう。

(私のコメント終)


(見出し)
スウェーデンの男女平等イデオロギーの帰結


(引用開始)
人口・少子化


スウェーデンは強烈な男女平等主義(あるいはフェミニズム)が支配するイデオロギー国家です。*1

(ブログ主が引用する新聞記事、グラフ等が文章の間にあるが、省略する。
***は引用記事があり、それを省略したことを示す。)

***


イデオロギーの理想を実現するために、夫婦共働きを前提とした社会制度が確立しており、夫婦分業(→専業主婦)を否定する空気が定着しています。


***
***(下記は引用部分を省略せず載せます。)
要するに社会生活のルールを性別と無関係にしちゃうということだった。
 
男女同権、の完全実施というわけ。
 
女も社会へ出て行ってよいし、男も家事をやるという。
 
遺伝子に書かれている男女の役割分担を無視したルールを作っちゃった。
***(引用部分終)
***


ところが、この思想は、家事や育児(unpaid work)を稼得労働(paid work)よりも「価値が低い仕事」「汚れ仕事」であるとする観念に結びつきます。家事・育児を「やりたくない仕事・他人にやらせたい(アウトソースしたい)仕事」と認識するスウェーデンの女が増えても不思議ではありません。
 
この「本音」とイデオロギーの無理が表れるのが、外国に移住した場合です。
***

 

スウェーデン人は「白人の中の白人」の外見や、スウェーデンに対するプラスのイメージなど、アメリカ社会で成功しやすい有利な条件を備えています。そのため、女は裕福なアメリカ人の男と結婚できます。必然的に専業主婦になります。*3


***

 

いざ専業主婦になると、仕事と家庭生活の両立を強要するスウェーデン社会の「完璧主義」から逃れられるため、生活満足度は高まります。

***


しかし、男女平等イデオロギーは絶対であるため、認知的不協和が発生します。「満足感はあるが、夫が家事を負担しないことが許せない」などです(←自分は外で働いていないにもかかわらず)。


***
その解消策となっているのが、メイド(domestic worker)を雇って自分が「主人」「雇用者」になることです。汚れ仕事のアウトソースと、雇用者として働いているという満足感が得られる一石二鳥の方策です(夫の所得で雇っているわけですが)。当初は抵抗感があるものの、「郷に入っては郷に従え」で、アメリカではメキシコ人、シンガポールではフィリピン人やインドネシア人のメイドを雇うことが一般化しているということです。
 
家事、育児から犬の世話まで低賃金で雇ったメイドに丸投げするのは、スウェーデン人の人権意識や"class equality"イデオロギーには反するようですが、
 •彼女たちは自分たちとは違う(They are not like us.)*4
 •自分たちは(シンガポールの場合は中国人よりも)「良い」雇用者である(あくまでも自己評価)
 
という正当化をしています。
 •夫の稼ぎに頼るのは気に食わない(従属的な立場になった気分)
 •しかし、家事もやりたくない("I didn't come here to do housework")
 •家事は途上国出身のメイドに任せて自分は「自己実現」に勤しむ
 •途上国に対する優位を利用して、主婦ではなく主人として振る舞う
 
という構図です。単なるご都合主義・いいとこ取りのように思えます。


***
このような思想は、スウェーデン国内にも浸透しつつあります。家事代行サービスが課税所得控除になったことが、家事のアウトソースを促進しています。富裕層がメイドを使っていた前時代への回帰です。


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50万人が日常的にサービスを利用していると報告されています(総人口は約970万人)。

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家事代行サービスの普及を肯定するロジックの一つは、雇用の増加(特に移民の女)です。

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「人間は皆等しい」という建前で移民を大量に受け入れた結果、「彼らは我々とは違う」という本音が活性化され、経済格差を是認する心理が醸成されています。*6
 
スウェーデンもアメリカやシンガポールに近づいているようですが、男女平等イデオロギー(あるいはフェミニズム)と新自由主義に共通性があることを考慮すると、必然とも言えます。「Unpaid workはpaid workよりも価値が低い」という観念は、「人は稼いだ金額で評価される→自由な経済活動(≒金儲け)こそ至上の価値→新自由主義」につながるためです。
 
専業主婦の否定→労働供給が増える→低賃金労働が増える(主にサービス業)→夫の給与だけでは生活できない世帯が増える→専業主婦が困難に→…という循環構造の形成に寄与しています。低賃金労働者を求める企業の要望と合致します。


***

経済格差も拡大傾向にあります。
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共働きが前提の経済システム→共働きでなければ平均的な生活ができない賃金水準になる→低賃金労働者が何らかの理由で片働き(または単身)になると貧困化、ということです。
 
政治や社会は明らかに変質しています。


***
***(下記は引用部分を省略せず載せます。)
この8年間にわたり政権を率いてきた中道右派は、就任した2006年以降、スウェーデン史上最大の規模で国有資産を売却し、公共部門の民営化、規制緩和社会福祉の削減と減税を推進してきた。
 
この結果、社会の不平等が極端に深化した。経済協力開発機構OECD)の調査では、スウェーデンは社会的不平等が最も急速に拡大している国となっている。
*
長期にわたって、住みよい社会のモデルとされてきたはずのスウェーデンは、実は国民からも信任を失っており、これが今回の選挙で如実に露呈する結果になったと言える。

 

***
***(引用部分終)

 「過ぎたるは猶及ばざるが如し」と言いますが("gender equality had gone too far in Sweden")、平等主義を過度に追及すると、不平等(格差拡大)を招いてしまうということです。完璧主義者のスウェーデン人は、「男と女、スウェーデン人と外国人にはまったく違いがない」という非現実的なイデオロギーを完璧に遂行することによって、一旦は築いた「理想の福祉社会」を破壊しつつあるようです。


***

 

(引用終了)