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新世紀のビッグブラザー三橋貴明ブログ


(見出し)
普通の薬

(引用開始)
 マイナス金利政策を巡る顛末からも分かる通り、現在の日本が抱える問題は、
「特効薬が効かない!」
 という話ではなく、普通の薬を飲まず、特効薬を追い求めている、という点に本質があります。

 と言いますか、ここまで一貫して普通の薬(財政政策)から目をそらし、効果のコミットができない特効薬を探し回る光景は、もはや喜劇です。普通の薬は、効果について事前にコミットできるにも関わらず、頑なにそこから目をそらす。
 実は、現在の日本や欧州同様に、主要国の政策担当者が病的なまでに財政均衡にこだわり、国民経済を貧困化させるという光景が、80年前にも見られました。

 

『[FT]21世紀におぼろに見えるドイツ帝国銀行総裁の影
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO97052220Y6A200C1000000/
(中略)

欧州北部諸国に共有されているブリュッセルとフランクフルトの現在の正統的政策には、30年代に一般的だったデフレマインドとの類似点がいくつかある。今日の政治家と中央銀行家は、財政目標と債務削減に固執している。30年代前半と同様に、正統的な政策には病的なところがある。今日の中央銀行家は、言うことが尽きると「構造改革」に言及するが、そうした改革が一体何を達成するのか決して口にしない。
 原則としては、ユーロ圏の経済問題を解決するのは難しくない。欧州中央銀行(ECB)が市民一人ひとりに1万ユーロの小切手を手渡せばいい。物価の問題はものの数日で解決されるだろう。あるいは、ECBは独自の「IOU(借用証書)」を発行することもできる。シャハトが行ったのは、それだ。または、欧州連合(EU)が債券を発行し、ECBがそれを買い上げてもいい。紙幣を印刷する方法はたくさんある。どれも皆、素晴らしい方法だ。そして違法でもある。(後略)』


ナチスがドイツで政権を握ったのは、デフレーションで国民の間にルサンチマンが蔓延し、「攻撃的」な政党が喜ばれるという形で社会が歪んでしまったためです。
 とはいえ、ナチスが「支持された」のは、これはもう、ヒトラーとシャハトのコンビが、各国が財政均衡主義の魔物にとらわれ、緊縮財政政策を推進する中において、アウトバーン建設に代表される大規模景気対策を打ったおかげなのです。ヒトラーが率いるナチスは、1932年には43%(!)だった失業率を、五年間で完全雇用に持ち込んでしまいました。

 それはもう、ドイツ国民がナチスを熱狂的に支持したのも、無理もない話なのです。
 ちなみに、わたくしは別にナチスを賛美したいわけではなく、「人類」は歴史的に財政均衡主義を「愛し」、デフレ期の財政出動という普通の薬を飲むことができず、デフレの原因を(なぜか)、
構造改革が不足しているから」
 という、意味不明というか逆効果(構造改革はインフレ対策)の政策を採用。
 緊縮財政と構造改革、つまりは需要縮小策と供給能力拡大策によりデフレを深刻化させ、
「国の借金で大変だ~っ!」
構造改革が足りないからだ~っ!」
 と、バカの一つ覚えのように自縄自縛となる愚かな政策を繰り返してきたという話です。
 特に、デフレ期には単なる「債務と債権の記録」に過ぎないおカネに国民総じて固執し、政府が普通の薬(財政出動)を飲もうとすると、
「政府は無駄なカネを使うな!」
 と、やるわけです。結果、デフレギャップは埋まらず、国民が貧困化し、ルサンチマンが蔓延し、最後には「他の国民を攻撃する」ことで人気を博すポピュリスト政治家が権力を持ち、民主主義が壊れます。

 あるいは、貧困化が行き着くところまで行き着き、国家は虎の子の供給能力を失い、発展途上国化します。

 民主主義の破壊や、発展途上国化を回避するために必要なのは、「特効薬」でも「万能薬」でもありません。しつこいですが、普通の薬、財政出動を中心とした景気対策という普通の政策なのです。

 それにも関わらず、政治家や国民が「普通の薬」について議論しようとさえしない現状に、わたくしは恐怖すら覚えるのです。

(引用終了)


(私のコメント)
>普通の薬を飲まず、特効薬を追い求めている…
普通の薬を飲むのが田中角栄、特効薬を探すのが学校エリートという図式で考えたら分かりやすいのではないか。
勉強で勝ち上がってきた官僚学者マスゴミなどの特権階級は田中土建おやじ発想が大嫌いだ。
彼らにとってはデフレの清貧思想は自分たちがいかに高貴な人間かを演出するものだし、理論理屈で頭の良さを示せるからだ。
泥沼を這いまわるのは嫌いで、這いまわるやつを指図したいのだ。
田中にように下手すりゃ自分たちがはい回らせられるのはとんでもないのだ。
だから特効薬を言えば泥沼の外で偉そうに言っていられる。その結果はどうなるか。
三橋さんの言う「国民が豊かで幸せになる」という基準からすると、田中は結果を出し、エリートは惨憺たるものだ。
エリートは結果なんかどうでもいいのだ。頭がいいから言い訳は後からどうにでもなる。
今の日本は今後もエリートたちに地獄を味合わせられる日が続くだろう。
だが、アメリカの大統領選挙でトランプとサンダースが出てきた。
もちろん彼らはヒトラー田中と違うがエスタブリッシュメントに忌み嫌われている。
こういう人物が出てきたのは時代が動いている証拠だろう。日本もぼちぼち期待してもいいんじゃないか。
日本は別に英雄待望の必要もないくらい常識的な政策をやる人が出ればいいから楽だろう。
チャンネル桜の討論で高橋さんが5月に安倍さんが政策転換する、と予言していたが、誰でもいい。
だが、間に合うかね。


(私のコメント終)