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宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成28年(2016)7月11日(月曜日)弐
          通算第4960号   


(私のコメント)
英国だけでなく米国も国が割れてきた。
このメルマガは米国の今の分断状況をうまく解説している。
要約すると、
反エリート、反カソリックプロテスタント白人の逆襲の3つだ。
これがトランプ現象と言われるものの背景だ。
次に米国の変化は次のような点に表れている。
1.ユダヤイスラエルロビーの力の衰え、
2.カソリックプロテスタント双方とも宗教心の衰え(但し南部福音派を除く)が見られる
3.若者と親世代の考え方のかい離。
4.移民によって多数派は白人からヒスパニックへ移る。
日本は米国の属国で幸せだった時代は終わり、米国と同じ分裂乱世の世に変わろうとしている。
今度の選挙で沖縄の自民党現職閣僚が落選し、沖縄から自民党議員が居なくなった。
これは沖縄独立のプロセスに入ったことを示している。
日本も英国や米国の後を追って分断分裂国家になろうとしている。
だんだん悪い方向にしか先行きの予測が考えられなくなってきた。
ただ、世界の歴史を見ると、分裂と統一を繰り返しており、分裂の時代が必ずしも悪い時代というわけではない。
室町時代なんかは中央政府の力が衰え、群雄割拠の時代だったが、文化に優れ、今の日本にも影響を及ぼしている。

最悪は他国に侵略され、生命財産を奪われ、奴隷となることだ。
日本人もそこまで馬鹿でないだろう。


(私のコメント終)
(見出し)
反グローバリズムだけではないアメリカ社会の変化
  過激リベラル「LGBT」、ヘイトスピーチファシズムの裏返しか

(引用開始)
 アメリカの政治の地殻変動は、アメリカ社会の劇的な体質の変化と言える側面がある。
孤立主義社会主義的福祉社会への変貌を遂げているのに高額所得者が肥るという所得格差の広がりに対しての不満、
人種差別撤廃を基幹とする「アファーマティブ・アクション」以後の少数民族優遇は、
ブラックを「アフリカンアメリカン」と呼び換えるようになって、いよいよLGBT(性少数者)保護から過保護へと進み、
禁煙ファシズムという言葉が流行したように、タブーが新しくなった。

変化の波は数年前にウォール街を占拠して「われわれが99%だ」と獅子吼したストライキ騒ぎが発展し、共和党内にはティパーティがネオコンに代替して一大勢力となり、保守主義思想にも核心的な変貌が見られた。
リバタリアンは少数派となった。

イラク戦争の失敗、ISへの対応の無力化はロシアの復活、
中国にあざやかなほどの大国への変貌と傲慢イズムの台頭がアジア太平洋にも軍事的緊張を運んだが、
大半のアメリカ人は日本や極東の安全保障に甚大な関心を抱かなくなった。
だから共和党は分裂含みとなり、まとまりがならず、不意にトランプが登場した。
社会主義」を名乗るサンダースが民主党を掻き荒らした。

 大統領候補に共通するのはTPPへの懐疑、すなわち反グローバリズムであり、
また所得格差への不満という「反ウォール街感情」となって津波のようにワシントン政界を揺さぶった。
筆者は前作『トランプ熱狂、アメリカの反知性主義』(海竜社)で、
トランプ現象を反エスタブリシュメント、反カソリック・エリート、
そしてWASPの復権を目ざすプロテスタントの連帯が見られるのが特徴と書いた。

 しかし追加として幾つかを指摘しておかなければならない。
 オバマ政権はイランとの核合意を成立させ、イスラエルサウジアラビアを激怒させ、両国をしてプーチンへと走らせる結果も招いたのだが、この『政変』が意味することは何か。


 ▼ユダヤ・ロビィの政治的影響力に深刻な陰り

 第一の大変化とは全米のユダヤ・ロビィの力が顕著に衰えたという事実なのである。アメリカは1960年代からイスラエルとは英国同様に『特別な関係』を築いてきた。
 またユダヤパワーは顕著な政治影響力をもつユダヤロビィストの活躍により、政治献金、ジャーナリズムへの浸透力などを通じて圧倒的な政治影響力を発揮した。AIPACとよばれる最強最大のユダヤ・ロビィの機嫌をそこねると、大統領当選は無理ともいわれたほどだった。

 「なぜAIPACは『イラン核合意をめぐる(議会ロビィイングの)攻防戦に敗れた野だろうか』とする立山良司氏は「超党派の運動を展開できなかった」ことを第一に挙げる(同氏『ユダヤとアメリカ』、中公新書)。
共和党も民主党も、このイシューでは党内にコンセンサスが成立しなかった。
 
第二に『米国のユダヤ社会が分裂し一体感を失った(中略)。とくに2008年に新しく結成されたイスラエルロビィ組織『Jストリート』は、AIPACや他の主流はユダヤ組織の主張に公然と反旗を翻した』。(同前掲書)。
 従前からジョージソロスなどはイスラエル外交政策のことごとくを批判してきた。つまり、アメリカのユダヤ社会は完全に亀裂が生じていたのである。

 第二の原因はカソリックプロテスタントの宗教力の衰え、とくに都会では日曜に教会へ行ってもミサは閑散としているように、
各宗派の政治的影響力が希釈化している事実だ。
しかし中西部から南部にかけての「バイブル・ベルト」へ行けば、エバンジュリカルが盛んであり、
プロテスタント各派を敵にするような主張をすれば大敗北を喫することに変わりはない。

 松本佐保『熱狂する「神の国」アメリカ』(文春新書)はアメリカにおける各宗派別の大統領を精査しているが、それを参考にして一覧表を作り直すと、歴代大統領の宗教の色分けは次のようになる。

 米国聖公会(エピスコバリアン):FDR,フォード、パパ・ブッシュ
 長老派(プレスピテリアン):アイゼンハワー、トランプ
 バプティスト(洗礼派):トルーマン、カーター、クリントン(ビル)
 メソジスト:ヒラリー
 ディサイプルス(禁酒派):レーガンカソリックから改宗)
 クエーカー:ニクソン
 カソリック:JFK、ブッシュ・ジュニア聖公会から改宗)
 
 第三はIT企業の新世代経営者が代弁する若者の政治意識が、旧世代、親の世代の価値観を共有せず、人生観も明確に異なっている事実。
それが予期せぬサンダースブームを呼んで、ヒラリーを困窮させた。

この大量の若者の票は第三党『リバタリアン党』(グレイ・ジョンソン党首)、緑の党に流れやすく、
偉大なるアメリカなどという世界の警察官的な考え方を忌避し、地球市民的は、身近な政策に関心の中心がある。
サンダースが、どちらかの第三党へながれる可能性も残るが、民主党内でヒラリーに投票しないと答える若者は「トランプへ入れる」と『他の党へ投票』という回答が拮抗している。

第四が移民の乱入とも言える変化だ。
すなわちアメリカの人口動態の変化は2040年に白人が少数派に転落する近未来を告げており、2011年にヒスパニックの比率は17%だったが、2050年に29%にまで増える。
ましてヒスパニックはロビィ団体が雨後の竹の子のようにワシントンに誕生しており、いずれユダヤ・ロビィに迫る勢いとなることが予測されるのである。

共和党主流の白人の焦燥をトランプは巧妙に捉えているが、白人がマジョリティとしては『最後の大統領』というとらえ方、そして1100万人をこえる不法移民に社会は耐えきれなくなっているのである。
 
 

(引用終了)