1701-15-1146-1/17メルマガブログ転送ヘリマネ

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経済コラムマガジン


(私のコメント)
前回のヘリコプターマネー、略してヘリマネのことを詳しく説明しているブログだ。
本文を読んでもらいたいが、ヘリマネとは簡単に言うと、政府が国債を発行し、その国債を日銀が買って紙幣を政府に渡すことだ。
紙幣の発行は日銀に任されているので回りくどく、そうするのだが、要するに政府が紙幣を印刷して使う、ということだ。
これは別に珍しい事でなく、江戸時代は各藩が藩札というものを発行していたが、これと同じだ。
明治維新の時、薩摩長州の新政府が形ばかり出来ても年貢は入らないし兵士の給料や武器弾薬の調達などで莫大な経費をどうしたか。
一つは大阪の商人から借り上げたのだが、もう一つは「太政官札」というものを発行した。
明治維新天皇を担ぎ出したおかげで、その信用で紙幣を発行できたのだ。
明治初年の政府財務を担当した渋沢栄一は早い段階で飛鳥山王子製紙を建設した。
まず紙を作ったのは紙幣を作るためだった。
このように政府というのは無から紙幣を発行して有を産むことが出来る特別なものだ。
マスゴミが宣伝するような家計に例えるのは間違っているのだが、彼らは嘘宣伝しかしないから平気なのだろう。
ただ、政府が現在のように国債を発行すると、利息の支払いや国債相場、満期到来の影響がある。
そのため、ブログにあるように永久債にしてしまえ、という話になっている。
今我々の使っている一万円札は政府と日銀の間の借用証書みたいなものだから、同じようなものだ。
こうして、何もないところから手品のようにカネを作り、それで道路や橋鉄道港湾、社会福祉に使おうというわけだ。
カネは使えばなくなるのではなく国民の間で流通するから、相乗効果が生まれ、それが税収になってくる。
国債で国が借金を作ると貸した側に同じ額の資産が発生する。
つまり、国民の側に資産が生まれるのだ。
だから国は借金をしないといけないのだが、それを財政均衡主義などと言ってやろうとしないから日本は疲弊する。
なぜやろうとしないか、というと嘘と間違いの理論で出来上がった経済学という壮大な学問体系があって、そこに学者が権威を持って救っているからだ。
オーム真理教のような邪教と考えればいいだろう。
邪教の司祭たちがやれ東大教授とか慶大教授とかいって政府の中に入り、わけのわからない処方箋を書いているからめちゃくちゃだ。
おなかが痛い人も骨折した人も全く間違った処方箋を書いて平気でいる。
当然病気は治らないし、もっと悪化するが、言い訳だけは頭の良さを発揮して上手なのだ。
そういうわけで、ヘリマネは悪い魔法使いが跋扈する暗黒時代に少し光明が差した、というものだ。

(私のコメント終)

(引用開始)

17/1/16(923号)


今年の展望と昨年暮れの出来事

今年の展望

年頭に相応しく一年を見通すような話をしたいところであるが、特に今年はこれが難しいのである。各種のメディアも、今年中に起るであろう出来事の予想といったものを例年以上に熱心に取上げているように筆者は感じる。人々が今年こそ何か大きなことが起るのではないかと密かに思っていることがこの背景にあると考える。

客観的に見ても、中国の軍事的な海洋進出や北朝鮮の核開発など不穏な動きが大きくなっている。またISによるテロも引続き起っていて終息する気配がない。さらにEUの弱体化や韓国の混乱を見ていると「世界は一体これからどうなるのか」と誰しも先の見通しが付かないといった状態である。

さらにトランプ米大統領の登場も事態の見通しを難しくしている。まず選挙中に言っていた政策がどのように実現されるか不明である。そもそも16/11/14(第916号)「トランプ大統領誕生は良かった?」で述べたように、トランプ米大統領の政策や主張は矛盾だらけである。


主要国の中で政情が比較的安定しているのは日本だけである。噂されていた衆議院の解散も当分ないようである。ただ他国の混乱や不規則な行動に、日本はとんだとばっちりを受ける可能性がある。しかし連日追掛けているのが小池都知事というのであるから、日本のマスコミは相当ボケている。

筆者は、トランプ大統領とトランプ政権は必ずしも一緒と考える必要はないと思っている。もちろんトランプ政権の政策にトランプ大統領の考えや主張は反映される。しかしトランプ大統領の言っていることを全て政権が実行するわけではない。筆者は、トランプ政権がどう転がるのかを見極めるには、やはり政権発足後の数カ月の様子を見る他はないと思っている。


元英金融サービス機構(FSA)長官アデア・ターナー氏が、年明け1月6日に安倍総理や黒田日銀総裁を訪問した(投資家ジョーズ・ソロス氏が同席)。この重要な出来事を日本のマスコミはほとんど伝えていない。当然、ヘリコプターマネーに関連した話が出ている。たしかにターナー氏は、安倍総理に直接的なヘリコプターマネー政策を奨めたということではないと言っている。氏は既に日銀が大量の日本国債を保有しているのだから、その20%程度(80兆円)を永久債(コンソル債)に換えてはどうかと安倍総理等に提案したと言っている。

もちろんこれを財源にした財政政策を奨めたことは確実であろう。ターナー氏もこの一連の政策が、後で振り返るとヘリコプターマネー政策だったと見なされるかもしれないということを認めている。まず永久債の発行とその日銀買入れは筆者の長年の提案でもある。そして日銀の保有する国債を永久債に換えるということは、その永久債が市場に二度と売却されないことを意味すると考えて良い。つまり世間で言われている出口戦略と関係がなくなる。


最も注目されることの一つは、一体誰が多忙な安倍総理等にターナー氏を引合わせたかということである。ターナー氏は世界的に大きな反響を呼んだ「債務と悪魔の間で」の著者であり、ヘリコプターマネーの一大権威である。したがって安倍政権に近い筋にヘリコプターマネー政策に賛同する者がいると認識して良いと筆者は思う。

世間のヘリコプターマネーへの関心は、半年前と比べるとちょっと低くなっている。しかし底流ではむしろヘリコプターマネー政策実現への動きは確実なものになりつつあると筆者は感じている。本誌は、昨年末、6週間に渡り「ヘリコプターマネーに関するQ&A集」を掲載した。筆者の一番の関心事は、今年はどれだけヘリコプターマネーの理解が進みこの政策の実現に前進が見られるかである。


(後略)

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16/11/21(917号)


ヘリコプター・マネーに関するQ&A集(基本編)

政府貨幣発行によるヘリコプター・マネー

ヘリコプター・マネー、つまりシニョリッジに関する世間の関心は高まっているが、これに関してもっと易しい説明がほしいという声がある。そこで今週から、筆者はヘリコプター・マネーに関するQ&A集を特集し提示する。ところでシニョリッジ政策の一つとして「(1)政府紙幣(貨幣)」がある。これについては09/2/9(第557号)「政府紙幣(貨幣)論の急な盛上がり」、09/2/23(第558号)「政府紙幣(貨幣)への巧妙な反対論」で同様にQ&A集を掲載しており、今回はこれも参考にする。

ただQ&A集だけを提示するだけでは、読む人の理解は十分進まないと考える。しかし丁寧な説明をするとやたら話が長く成り過ぎる。そこで本コラムにおいては、適宜、Q&A集の本文に簡潔な解説を挟んで行こうと思っている。


〈解説〉まずシニョリッジ政策には、今日世間で話題になっている「(2)日銀が関与した形のヘリコプター・マネー」の他に、政府が独自に実施する「(1)政府紙幣(貨幣)」がある(筆者の考えでは政府紙幣(貨幣)もヘリコプター・マネーである)。また後者の方が仕組みが簡単であり理解され易いと考える。しかしせっかく日銀が既に400兆円も国債を購入しているのだから、これを元にしたヘリコプター・マネー政策の方が実現の可能性は高いと筆者は思っている。Q&A集は後者の「(1)政府紙幣(貨幣)」から始める。

Q1:そもそもヘリコプター・マネーとは何ですか

A:元々は、権力者が独自に通貨(貨幣や紙幣)を作り、これを世間に流通させることです。権力者とは、もちろん今日では各国の政府のことです。これまでも深刻な不況の時にこの政策は検討されて来ました。紙幣をどんどん刷ってヘリコプターからばら撒くことによって、これを拾った人々がこれを使えば景気は良くなるという政策です。ここで大切な点は通貨の発行主体に通貨発行益が生まれることです。したがって無償で財源が得られ、国は新たな借金をしたり増税を行わなくても済むことになります。

Q2:まさか政府が、本当にヘリコプターからお金をばら撒くなんてことは行わないでしょう

A:もちろんこれは比喩です。現実的は、政府が紙幣を刷りこれを通常の財政支出の財源に充てます。したがってこれで得られた財源を公共投資社会保障費、教育費、防衛費などの歳出に使います。

Q3:ヘリコプター・マネーの方法はこれだけですか

A:今まで説明して来たのは、政府(国)による政府貨幣(紙幣)の発行という方法です。もう一つ、国が国債を発行し中央銀行である日銀がこれを買うという方法が有ります。通常、日銀による国債の直接引受けと呼ばれています。この場合、日銀は、国債購入代金を国が日銀に持っている口座、つまり国庫に振込みます。政府(国)はこの国庫に振込まれたお金を自由に財政支出に使います。この日銀が国債を引受けるという形のヘリコプター・マネーは後ほど説明します。

Q4:まず日銀ではなく政府が、貨幣や紙幣を勝手に発行できるとは知りませんでした

A:「政府貨幣」の発行は、独立国家固有の権限です。日本現行法では「通貨の単位および貨幣の発行等に関する法律」(昭和62年6月1日、法律第四二号)で定められています。同法の第四条には「貨幣の製造および発行の権能は、政府に属する」と明記されています。また同法によれば「貨幣」の素材や形式などは政令で定めることになっています。

今日使用されている、一円玉、100円玉などの補助貨幣もこの法律に基づいて発行されています。記念コインの発行も同様です。また「貨幣」の素材や形式などは政令で定めることになっていますから、コインの形ではなく紙幣でも構わないわけです。ともわれ日本では既に政府貨幣は流通しているのです。

さらに同法には、政府貨幣発行に関しては、発行額の制限や担保の規定はありません。発行は政府の自由なのです。ちなみに政府貨幣の額面から製造コストを差引いた額が、貨幣鋳造益、つまり通貨発行益となり、政府の収入になります。

Q5:高額の政府貨幣や政府紙幣を発行することは可能ですか。

A:発行額に上限は有りませんが、上記「通貨の単位および貨幣の発行等に関する法律」によって貨幣の種類は、以下の通りに制限されています。
「第五条  貨幣の種類は、五百円、百円、五十円、十円、五円及び一円の六種類とする。」
2 「国家的な記念事業として閣議の決定を経て発行する貨幣の種類は、前項に規定する貨幣の種類のほか、一万円、五千円及び千円の三種類とする。」
3  「前項に規定する国家的な記念事業として発行する貨幣(以下この項及び第十条第一項において「記念貨幣」という。)の発行枚数は、記念貨幣ごとに政令で定める。」

しかし最高額の500円硬貨でも、10兆円の政府貨幣発行となれば200億枚の鋳造が必要になり、とても現実的な話とは言えません。つまり現実の政策として実行するには、法律の改正が必要になると考えます。この点は政治的に難しい話になりますが、もし法律を改正すれば高額の貨幣や紙幣の発行は可能です。

Q6:新しい貨幣や紙幣が発行されると混乱が起りそうですが

A:もちろん新しく貨幣や紙幣を発行してもかまいませんが、政府貨幣の発行権を日銀に売却し(政府紙幣を日銀に入金するという表現の方が適切か)、日銀の小切手を受取る方法があります。この場合には、新しい紙幣などを印刷する必要はないのです。つまり現実に流通する紙幣は、現行と同様に日銀券のみで済ますことができ、複数紙幣の流通という混乱は避けられます。


日銀が関与したヘリコプター・マネー

〈解説〉ヘリコプター・マネー政策、つまりシニョリッジ政策の一つである政府紙幣(貨幣)は説明したように仕組は単純で分かりやすい。しかし法改正が必要など、この方式での実現は難しいのが現状である。もし実現するとしたなら、やはりもう一つの日銀が関与した形のヘリコプター・マネーと筆者は考える。次はこれについて説明する。

Q7:日銀が国債の代金を国庫に振込むもう一つのヘリコプター・マネーは法律に違反していませんか

A:たしかに国が発行した国債を、日銀が直接引受けることは財政法5条で禁止されています。もっとも財政法5条には「特別の事由がある場合、国会の議決を経た金額の範囲内では、この限りではない」という但し書きがあります。ただ「特別の事由」や「範囲内」についての解釈が一定ではなく、但し書きに基づき日銀が直接引受する場合は大いに揉めると考えます。いずれにしても日銀の直接引受ということになれば、財政法の改正などが必要になり、こちらもハードルは高くなると考えた方が良いでしょう。

Q8:でも日銀は市場から多額の国債を買っています。これはヘリコプター・マネーではないのですか

A:まずこれは解釈が別れるところです。日銀は金融緩和政策の一つとして市中から民間金融機関が保有する国債を買っています。たしかに日銀が市中から国債を買入れることを見越して、政府が国債発行を増やせば極めてヘリコプター・マネーに近い形になります。

〈解説〉ちなみに以前は、日銀の内規で国債の買入れに日銀券の発行残高という限度額があった。しかし黒田日銀体制が発足した時この枠を撤廃した。現在この国債買入れ残高は400兆円程度になっている。

Q9:市中から国債を買っても、実質的に違法である日銀の直接引受けと変らないのでは

A:直接引受けの場合、日銀は代金を国が日銀に持っている口座、つまり国庫に振込みます。これに対して市中から買入れた場合には、代金を金融機関が日銀に持っている当座に振込みます。たしかに代金の振込先が異なるだけで、日銀にとって実質は変りません。

ご質問に戻れば、たしかに日銀の国債の市中買上げに対し疑義が提示されているのは事実です。実際、民主党(当時)の大久保勉参議院議員から「今日の日銀の量的・質的金融緩和は財政法の第5条に抵触するのでは」という主旨の質問書が政府に寄せられています。これに対して「財政法には抵触しない」という答弁書を今年2月27日に政府は閣議決定しています。あくまでもこれは日銀の金融政策の一環というのが日本政府の見解です。

Q10:市中から日銀が国債を買入れた場合、国の民間金融機関への債務が日銀への債務に振変わるだけでは

A:形としてはその通りです。国は日銀が保有している国債に対しても利息を払います。しかし日銀は、この国債利息を含めた全収入から経費(日銀運営経費や準備金など)を差引いた純利益を、国庫納付金として国に納付することになっています。つまり民間金融機関が保有する国債に対して支払う国債利息は財政負担となりますが、これが日銀保有となれば実質的な財政負担は無くなります。

また国と日銀の関係は、国が親会社、日銀が子会社ということになります。日銀が保有する国債は国に対する債権であり、国とって日銀に対する債務となります。しかし政府と日銀には統合政府という概念があり両者を連結決算すれば、親会社(国)と子会社(日銀)の債券・債務は相殺されます。つまり日銀が市中から国債を買えば、その額の国の債務が実質的に減ることになります。

Q11:日銀が市中から国債を買った時、日銀の債務は増えるのではないのですか

A:日銀が国債を買った場合、日銀券を発行してこれに充てることができます。つまりこれは日銀券の増刷であり、たしかに発行した日銀券は日銀のバランスシート上の債務勘定に計上されます。しかし日銀券は、誰からも返済を要求されたり(不換紙幣)、利息を付けません。したがって会計学上、これには債務性がなく、むしろ利益(つまり通貨発行益)と認識すべきです。

もっとも日銀が現金(日銀券)で市中から国債を買うということはありません。通常、代金を金融機関の日銀当座預金口座に振込みます。たしかに日銀当座預金口座は日銀にとって債務勘定ですが、もし口座を保有している金融機関から出金の要求があれば日銀券を刷ってこれに充てれば済みます。つまり国債を市中から国債を買う度に、日銀に利益(通貨発行益)が発生すると考えて良いのです。また統合政府の考えから、子会社(日銀)の利益は親会社(国)の利益と見なされます。

Q12:金融機関の日銀当座預金も実質的に債務性は無いという話ですが、何故、0.1%の付利を行っているのですか

A:通常、金融機関が持つ日銀の口座は当座預金なので利息は付けません。しかし白川総裁時代の08年から0.1%の付利を行っています。これはゼロ金利政策によって短期金利が下がり過ぎ、短期金融市場が機能しなくなるのを防止するためと聞いています。つまりこれは日銀の金融行政上の措置であり、決して日銀当座預金が金融機関への債務(借金)という認識からではありません。

〈解説〉ちなみにマイナス金利を導入した今年の2月からは、40兆円の法定準備金相当額(マクロ加算残高)対するこれまでの0.1%の付利は止めゼロにした。ただ所要準備を超える210兆円の超過準備額(基礎残高)に対しては、従来通りの0.1%の付利を続けている。そして今後の追加的な当座預金残高(政策金利残高)にはマイナス0.1%の金利を適用している。

(引用終了)