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東洋経済ONLINE

(見出し)

精神科医の禅僧」が教える、心を休める方法
知ると役に立つ「4つのR」

川野 泰周 :精神科・心療内科医/臨済宗建長寺派林香寺住職

 

(私のコメント)

(要約とコメント)

1.日本人は働きすぎ、と言われるが、本当にそうかどうかは別として、休息が大事だ、ということは分かる。
だが、休息とは何か、ただ休めばいい、というものでもない。
休息の仕方が問題だ。
2.人間が本当に休息して回復するには心と体の両方を休めることが大切。
休息の方法を4つのRとしてまとめた。
(1)リラクゼーション(relaxation)
(2)レスト(rest)
(3)レクリエーション(recreation)
(4)リトリート(retreat)
3.リラクゼーションは心をリラックスさせること。
具体的には呼吸法。呼吸に意識を集中させ、心に雑念を起こさせないようにする。
そして、自律神経系に心と体を任せる。
本来の自分は自律神経で管理された自分だから自分そのものの原点に戻る、ということになる。
雑念の80%は妄想だから、心に色々なことが湧いてきても体を振ったり、頭を振ったりして体を使って切ってしまう。
普段人は心に湧き上がる色々な想念に振り回されて生きていることが殆どだ。
それはそれで生きている証しだからいいのだが、人間は人間としての本来の自分で生きればいいので、その原点に戻る。
出来れば毎朝とか毎夕とか毎日一定の時間に決めてやると効果がある。
そんなに長くやる必要はなく数分でよいが、毎日続けることが大事だ。
お風呂の湯につかっているときとか、電車の吊革につかまっているときとか、ほかにやることがない時にやってもよい。

4.レストは休息だから、マッサージや睡眠のことだ。
重要なのは睡眠で、良く寝ると風邪もひかないし、気分もいい。
良い眠りは眠くてしょうがない時に眠ることのように思うが個人差があるだろう。
各自工夫するとよいでしょう。

5.レクリエーションは仏教でいう「三昧の境地」に入ることだ。
これも各自の工夫だが、私の場合は読書と散歩だ。
ここに書かれているように「少し難しいが少しの努力で達成出来る」
「数値的な目標が建てられる」
「成果が目に見える」
「やっている間は集中出来る」
「出来れば少しは向上したように感じる」
「長続きして飽きない」というようなものであれば理想的だ。
旅行なんかもいいが、テーマを決めて旅行すると、とても面白い。
これらの「遊び」は疲労感がなく、心の栄養になる遊びだろう。
6.上記の三昧に入る、ということは下記ブログに書かれた、…「目的を手放した時に経験できる心の充足」こそが、禅の本質であり、…というものだ。
釣りをする人とか、囲碁将棋なども当てはまる。
あまり気持ち良いと、依存症的になってしまう位にはまる。

7.リトリートは修養と訳しているが、トリートメントという言葉に近いのではないか。
この分野が休息に入るかどうか、と思うがこのブログ主は休息に入れている。
「自分の心と体に向き合う」という意味ではその通りだから、それが正しいのだろう。
人間の心というものは無意識の自律神経系の体と心で成り立っている。
脳科学的に言えば、右脳と左脳が分かれていて、両方が情報を交換し合いながら心を形作っている。
この無意識野の動きを認識することが大事なのだろう。
人間の脳の動きは8割は無意識野の動きだ。
だから、無意識野の働きをトリートメントすることが、修養ということになる。
このブログでは自然の中で休息リラックスすることを進めている。
私のお勧めは簡単な登山だ。
例えば、高尾山なんか日帰りで手軽にできる自然の接し方だ。
7.最後に大事なことが書かれている。
それは「自己肯定感」だ。
これは、自己愛とも自己幸福感ともいえるが、これが非常に重要なものだ。
ところが、ここに書かれているように一般に日本人はこれが低い。
実は日本人が生真面目で勤勉だ、というような外国人から見た日本人の高評価の裏打ちがこれなのだ。
だから、否定する意味でなく、そういうことがあることを認識してよく理解しておいた方が良い。
このブログでは最大のテーマと言いながらあまり触れていないが、改めて別便でこのテーマを検討してみよう。

 

(私のコメント終)

(引用開始)
私は、神奈川県横浜市にある臨済宗建長寺派禅宗寺院の一人息子として生を受けましたが、医学部を卒業後、精神科医として診療に従事し、30歳になってからようやく鎌倉の大本山建長寺専門道場(建長僧堂)へ入門しました。3年半の修行生活を経て、現在は横浜市の寺院で住職を務めています。と同時に、都内や横浜市内のクリニックで精神科医としても診療に従事しています。

いま注目を集めている心理療法である「マインドフルネス」は仏教をルーツとしています。私は禅の修行を経験したことで、それが己の心にいかなる作用をもたらしたのかを、体感できました。

そして、精神科医として学んできた「人間の心における医学的解釈」と自らの中で和合を得たことで、これからの時代を生きるすべての人に、禅とマインドフルネスが限りなき勇気と力を与えるものであることを確信したのです。

精神科医の禅僧」である変わり者の私から、皆さんの日々の健やかなる心づくりに役立つ「ワザ」を、少しでもお伝えできればと思います。

日本人は休息が足りない

「日本人は世界で最も勤勉である」。この定説について、どのように思われるでしょうか。日本人として誇りに思いますか? それとも恥ずべきことと感じますか? そのとらえ方は世代や考え方によっても異なると思いますが、少なくとも「休息を取る」のが大切であるということは誰でも認識しているところでしょう。

それでは、何をもって「休息」と言えるのでしょうか? 実はこの点に関する理解の誤りが、多くの方の疲労の問題に影を落としているのです。

私がかつて治療させていただいた女性の患者さんで、ひと月に時間外だけで200時間以上働くという、尋常ではない過重労働を強いられる中、うつ状態になってしまった方がいます。もちろん主治医として診断書を作成し、幸いにも職場の理解が得られたことで残業停止の措置が取られました。しかしそれから半年が経過しても心の回復は思わしくなく、結果、退職という形になりました。

会社勤務時代を振り返った彼女は「休み方がわかりませんでした」と言いました。そう、忙しい日々に追われているだけでなく、たとえ時間を得ても休息にあてることができないという方が急増しているのです。

心と体の両面を休息させる方法

人間が本当の回復を得るためには、心と体の両面を休息させることが必要不可欠です。ここでは「4つのR」でその方法を解説いたします。

(1)リラクゼーション(Relaxation)

心をリラックスさせることが休息になることは容易に想像がつきますが、ただ脱力して過ごすだけでは本当の休息は得られません。

人間の内臓はほとんどすべてが自律神経(交感神経と副交感神経)でコントロールされていますが、心をリラックスさせれば、このうち副交感神経を優位にすることで体の休息にもつながります。そのためには五感のすべてを用いて副交感神経への刺激を誘導することが大切です。

たとえば、以下があげられます。

・海や山などの景色を眺める(視覚)
・鎮静系のアロマやお香を焚いて香りを楽しむ(嗅覚)
・自然音や穏やかな音楽を聴く(聴覚)
・スイーツや果物を食べる(味覚)
・好きな動物や柔らかな物に触れる(触覚)
自分にとって心の栄養となる方法を見つけておき、仕事中の休憩時間などにこまめに取り入れたいものです。

ところが、「いつも全力疾走している状態からいきなり休息なんてできないのでは?」という疑問も多く聞かれます。そこで、仕事の合間の短い時間でも一瞬にして心身を休息モードに転換する技術として、近年世界の名だたる大企業で社員向けに導入されている「マインドフルネス」が大きな力を発揮します。

さまざまな医学研究でもその効果が証明されている、このマインドフルネスの基本系が「呼吸瞑想」で、誰でも今すぐに実践できるほどシンプルな方法です。「いすや床に背筋を軽く伸ばして楽に座り、目を閉じて(半眼でもよい)、ありのままの息の出入りを感じる」たったこれだけなのです。

時間は数十秒でも数十分でも自由で、呼吸のペースが速かろうが遅かろうが「その時はその時」と受け流すようにします。

私の患者さんの中にも、この呼吸瞑想を取り入れてからプレゼンに落ち着いて臨めるようになった方、顧客からのクレームにも一つひとつ誠意をもって対応できるようになった方など、仕事に生かしておられる方がたくさんいらっしゃいます。