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フランス大統領選、「悪夢のシナリオ」はあるのか
棄権率が高く依然流動的
松崎 泰弘
2017年04月21日

(私のコメント)
フランス大統領選挙は23日の日曜日に行われるが、最新情報分析では混戦で、どうなるか分からない状況だ。
決選投票に残る2人が誰かによって、結果が変わる、と言われている。
ルペンとマクロンならマクロン、ルペンとメランションならルペン、という予想だ。
今のところ下記の記事の通り、市場の債権の値動きから予想すると、マクロンが有力だ。
だが、私は歴史が好きだから、歴史の流れからして、ルペンさんが当選すると面白い、と思う。
そうなると英独仏皆女のリーダーになる。
女の方が案外大胆で決断力や政治的な切り開く力は強い。

フランスの選挙に注目するのは、イギリスと同じようにフランスも人類の歴史、すなわち世界史的に先頭を切って動く性質があるからだ。
もし、ルペンさんが大統領になると、EUとそれに代表される現在のグローバリズムの流れがナショナリズムへと転換してゆく流れとなるだろう。
なお、グローバリズムというのは金融が世界を支配しようとする動きでもある。
金融に対してナショナリズムは製造業を発展させる動きなのだ。
アメリカのトランプさんが出てきたのも製造業の人達の後押しからだった。
マクロンという人は弱冠39歳で金融界出身のようだから、両者の対決は歴史の流れに沿った動きと言えるだろう。
シャンゼリゼ通りでテロがあったのでルペンさんにとっては追い風になるだろうが、さて今後どうなるか。

下記の記事でフランスは不思議な国だ、とあるが、確かにそうだ。
製造業でも原子力などは最先端を行くし、左派政権なのに脱原発なんて馬鹿げたことは言わない。
先日フランスの歴史で抑えておくべき歴史的トピックを書いたが再録しよう。
1704-9-1222-4/10メルマガブログ転送フランス大統領選挙
14世紀-百年戦争ジャンヌダルク)英国との戦い
16世紀-宗教戦争(サンバルテルミー)
18世紀-フランス革命(ナポレオン)

フランスはイギリスとしょっちゅう戦争をしていて大体負けている。
ドイツとの戦争も負けるし、ナポレオンのロシア遠征も負けた。
つまり、何時も負けるのだが、何となく返り咲いて国際的に良い位置を占めている不思議な国だ。
それと、やたら戦争をしたおかげで絶対王政という一つの頂点に達し、更に革命で大転換して、国民国家を作った。
国民国家を作ったのは国民を徴兵して強い軍隊を作るためだ。
この国民国家が現在の世界の骨格を作っている。
つまり、戦争に負けても反省なんかせずに、さらに強い軍事国家を目指すから周りから一目置かれる。
世界は軍事で動いているから軍事的な視点で世界を見ないと、いろいろなことが分かってこない。
「不思議な国」というのは軍事から分析していないからだ。
日本は軍事関係の学問を嫌うが、それで世界が動いているのだから、よく研究しておいた方が良い。
今、中野剛志著「富国強兵」という本を読んでいるのだが、とても面白い。
この本は日本が嫌う軍事を取り入れた経済研究の本で、いずれ又読み終わったら紹介します。

 

(私のコメント終)

 

(引用開始)


(見出し)
ランス大統領選、「悪夢のシナリオ」はあるのか
棄権率が高く依然流動的
投票日まで残り2日。注目のフランス大統領選挙は混戦状態が続いている。

 大統領選の立候補者は11人。調査会社IFOPによると、23日の1回目投票で「誰を支持するか」を聞いた世論調査のトップは中道左派で無所属のエマニュエル・マクロン氏で支持率は24.0%。これに続くのは極右政党「国民戦線」党首のマリーヌ・ルペン氏で22.5%だ。

 3位は最大野党の右派、共和党フランソワ・フィヨン氏で19.5%。4位につける政治運動「不服従のフランス」のリーダー、急進左派のジャン=リュック・メランション氏は18.5%と僅差だ。政権与党である社会党のブノワ・アモン候補は7%と水をあけられた格好(いずれも20日時点)。

 大統領選では1回目で過半数を獲得する候補がいなければ、上位2人による決選投票が5月7日に行われる。フランスの各メディアや各世論調査会社は「上位4人まで2回目投票に進出の可能性がある」などと指摘しており、予断を許さない状況だ。

 金融市場の関係者が注視する物差しにフランスとドイツ両国の10年物国債の利回り格差(スプレッド)がある。両国の国債利回りは通常、経済力格差などを反映してドイツの利回りがフランスのそれを下回って推移。つまり、利回り格差はドイツの国債にどれだけプレミアムを上乗せすれば、投資家にフランス国債を買ってもらえるかを示したものだ。

(画像;独仏両国債の利回り格差のグラフ)

同格差は18日の約0.74%から20日には0.61%まで急低下。マクロン氏優勢を好感した動きとみられる。というのも、マクロン氏は欧州連合(EU)との連携強化を訴える。公約でも現行の法人税率を33%から25%へ引き下げるなど民間企業の支援を通じて経済の活性化を図ろうという政策を打ち出す。
しかも、IFOPの調査では、決選投票が「マクロン氏対ルペン氏」となった場合、マクロン氏に投票するとの答えが61%に達しているのに対し、ルペン氏の支持は39%にとどまる。マクロン氏が決選投票に進めば、「反EU、移民排斥」を掲げるルペン氏の勝利を阻止し、「フレグジット(フランスのEU離脱)」の可能性も遠のく、というのがマーケットの読みだ。

 フィヨン氏もマクロン氏と同様、「親EU」の立場だ。年金支給開始年齢の62歳から65歳への引き上げや付加価値税(VAT)増税を打ち出しており、財政改革への取り組みはマクロン氏より意欲的ともいえる。難民・移民問題には厳しい姿勢をみせるが、いずれにせよ、マクロン氏との決選投票というシナリオになれば、マーケットはひと安心する公算が大きい。
棄権率が高いと極右や極左の候補が有利に
 ただ、マクロン氏の決選投票進出が確実とは言い切れない。IFOPの調査によると、4人の有力候補のうち、「1回目投票で支持する候補に必ず票を投じる」と答えているのはルペン氏がもっとも高く85.4%。以下、フィヨン氏77.5%、メランション氏73.1%でマクロン氏は68.2%と最も低い。棄権率の高さも気掛かりだ。現時点では27%の人が「投票に行かない」と答えている。「棄権率が高いと、極右や極左の候補に有利に働く」(仏「ル・モンド」紙のフィリップ・メスメール記者)。

 マーケットがなによりもおそれているのは、「ルペン氏対メランション氏」の構図である。メランション氏の支持率は急上昇。ホログラム映像を駆使した演説など巧みなパフォーマンスで人気を集め、「台風の目」ともいうべき存在になってきた。

EU離脱の是非を問う国民投票を公約に掲げるルペン氏とは一線を画すが、同氏が立ち上げた「左翼党」のホームページには、「欧州のかんぬきを外す」としてEUとの話し合いを提唱。「民営化、労働市場の自由化、公共投資の禁止、競争力の強化などを定めた公共の利益に反する条項の適用はやめよう」などとして、協議が不調に終わればEU離脱を辞さない姿勢を示す。EU離脱をちらつかせる両者で決選投票が行われるとなれば、マーケットの波乱は避けられないだろう。

 高級ブティックなどが軒を連ねるパリの繁華街、シャンゼリゼ通りでは現地時間の20日、銃撃事件が発生。オランド大統領は「(事件の)手掛かりがテロを示すものであると確信している」と述べた。「テロ」が投票にどのような影響をおよぼすかは読み切れない。

(引用終了)

(引用開始)
http://yamikabu.blog136.fc2.com/
闇株新聞 the book

(見出し)
過大評価されている不思議な国・フランスの大統領選挙
2017年04月22日
過大評価されている不思議な国・フランスの大統領選挙


 表題は2015年にメルマガ・闇株新聞 プレミアムで長期連載した「歴史上で常に過大評価されている不思議で厚かましい国・フランスの歴史」からとりました。

 ナポレオン時代を除いて戦争に強いわけではなく、ポルトガル・スペインのように大航海時代をリードしたわけでもなく、英国のように奴隷貿易で蓄積した富で産業革命を成功させたわけでもなく、第二次世界大戦では開戦直後にヒトラーにパリを陥落させられ傀儡政権となったフランスですが、いつの間にかちゃっかりと「いい位置」を確保している不思議で厚かましい国がフランスです。

 そのフランスで大統領選挙が行われます。4月23日の第1回投票で過半数を獲得する候補がいなければ(そうなるはずです)、5月7日に上位2候補の間で第2回投票が行われ新大統領が決定します。

 現在のフランスもEUやIMFなど国際機関、それにアフリカ・中東・インドシナなど広大な旧植民地地域に「国の実力をこえた地位」を確保している不思議で厚かましい国であるため、その大統領も「実力をこえた世界への影響力」を備えることになります。

 前回の大統領選挙(2012年)から、各政党は一般有権者も含めた投票で候補者を選ぶ予備選を取り入れており、各政党とも多数の候補者が乱立した結果、社会党では現職のオランド大統領、共和党ではサルコジ前大統領があえなく「落選」してしまいました。

 政治における右派・左派とは万国共通の政治用語ですが、もとはといえば1789年のフランス革命時の国民議会で、議長席から見て右側に王党派、左側に急進革命派が座っていたことに由来します。

 そして今回の大統領選挙でも、その元祖・急進左派から極右まで有力候補者が「きれいに」出そろいました。左から並べると急進左派のメランション、中道左派で「与党」社会党のアモン、中道独立系のマクロン、中道右派共和党のフィヨン、そして極右・国民戦線(FN)のルペンとなります。

 このなかでは反移民・反EUを掲げる国民戦線(FN)党首のマリーヌ・ルペンと、昨年8月までオランド現政権のバルス内閣で経済担当大臣を務めていたエマニュエル・マクロンがリードしていましたが、ここにきて両者とも息切れしています。

 代わって急進左派で反EUだけではなく反NATOまで掲げるジャン=リュック・メランションと、妻への不正給与疑惑で出遅れていた前首相(サルコジ政権時)のフランソワ・フィヨンが盛り返しており、「与党」社会党候補のアモン以外の4候補すべてに第1回投票で上位2位に残る可能性があります。

 それでも現時点ではまだルペンとマクロンがリードしており、そのまま第1回投票でルペンとマクロンが残れば、第2回投票で反ルペンが集結してマクロンが新大統領になるとの予想が支配的です。それではこのマクロンとは何者なのでしょう?

 マクロンはまだ39歳で、国立行政学院(ENA)出身の「典型的エリート」です。2006年に社会党に入党し、2008年にロスチャイルド系の投資銀行入りし、2012年にオランド政権になると大統領府副事務総長となります。そして2014年には早くも経済担当大臣に抜擢され、2016年8月に大統領選出馬のために辞任しています。

 経済担当大臣時代には、フランス政府が大株主であるルノーによる日産自動車の完全子会化を主張していました。政治信条そのものは右派でも左派でもなく、状況に応じて右派と左派の主張から「いいとこ取り」する「戦略のための中道派」のような気がします。

 2016年4月に政治グループ「前進!(En Marche!)」を結成していますが、まさに「右派でも左派でもない政治」をスローガンにしています。

 フランスでは大統領選直後の6月に総選挙(国民議会選挙)が行われますが、仮にマクロンが大統領となってもそれだけでは直接支える政党がありません。そこで総選挙で「前進!」が中道右派共和党)と中道左派社会党)の既存政党から議員候補を寄せ集めて過半数を確保するつもりのようですが、いくらなんでもムシが良すぎます。

 そうなると中道右派共和党)か中道左派社会党)のどちらかと連立政権を組むことになりますが、そうなるとマクロンの政治は大きく制限され「右派でも左派でもなく前進もできない政治」となってしまいそうです。つまりマクロンはあまりにも「促成栽培」で「脆い大統領候補」となります。

 それではルペンはどうなのでしょう?ここにきて(息切れが目立つようになってから)再び反移民・反EUという「国民戦線(FN)本来の主張」に回帰しているようです。現地時間・昨日(4月20日)夜にパリのシャンゼリゼであった銃撃テロも、微妙にフォローに働くかもしれません。

 つまり現時点の本誌の「直前情報」は、少なくともマクロンは大本命ではなく、少なくともルペンは大統領になれないわけではないとなります。

(引用終了)