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ロシア政治経済ジャーナル No.1619
2017/9/25
(見出し)
(安倍さんに教えたい)メルケル強さの秘密
ドイツで総選挙があり、メルケルさんのキリスト教民主
・社会同盟(CDU・CSU)が勝ちました。
メルケルさん、4期目になります。
なぜ、彼女は、こんなに強いのでしょうか?
(私のコメント)
政治家という職業は日本では胡散臭い職業のように貶められているが、大切な職業なのだ。
政治家は下記の記事のように皆のコンセンサスに敏感でないといけない。
なぜなら、皆の意見を集約して集団をより良い方向に引っ張ってゆくのが仕事だからだ。
では、政治家を貶める連中とはどんな奴らか、というと、まず官僚、学者、マスゴミ記者などがあげられる。
彼らの特徴は自分たちが一般大衆とは一味違うエリートで自分達を一段高い位置に置くことだ。
そして、大衆と異なる少数意見を言ってそれこそ自分がエリートの証拠と考える。
だから、左翼マスゴミのように過激なことを言ったり、つじつまが合わなくても平気だ。
勿論、本当のエリートで世間に受け入れられない意見だったが後世正しかったことが分かるような人も居る。
だが、人間は将来のことが分からないのだ。
誰が正しいことを言っているか、その時点では分からないのが人間だから仕方がない。
皆が相談してコンセンサスで事を進めるしかない。
その時が政治家の出番で、皆の意見の集約をしないのだが、ただ集約すればいい、というわけでない。
やはり、理想とか文化伝統とかしっかりしたイデオロギーもないといけない。
そしてそれにとらわれず、さらに、偽エリートの独りよがりな意見やただ声の大きい連中を押さえないといけない。
闘争心や実力などが必要で、相当度胸の居る仕事だから、やくざの親分のような部分もないといけない。
その上で、弱いものを助けるような義侠心があれば政治家として理想だろう。
こういう政治家は学校秀才エリートには煙たい存在なので官僚マスゴミなどから見ると田中角栄のように攻撃したくなるようだ。
今の日本には政治家の大物が居なくなっているが、こういう連中に足を引っ張られているためだろう。
(私のコメント終)
(引用開始)
(見出し)
★(安倍さんに教えたい)メルケル強さの秘密
全世界のRPE読者の皆さま、こんにちは!
北野です。
ドイツで24日、総選挙が実施されました。
結果は???
↓
BBC News9/25(月) 11:58配信
ドイツで24日、総選挙が実施され、アンゲラ・メルケル首相率い
るキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が第1党となるのが確実
な情勢となった。
これによりメルケル首相は政権4期目に入る見通し。>
すごいですね~、メルケルさん。
4期目です。
2005年からずっと首相をされています。
この人ほど、評価のわかれる人もいないですね。
人気はありますが、批判も多い。
フランスの人口学者で、「予言者」と呼ばれるエマニュエル・
トッドさん。
今のEUは「ドイツ帝国だ!」と批判しています。
「加入戦術」をやっているようにも見える」と書いています。
(「大世界史~現代を生きぬく最強の教科書」122p)
私は2015年、メルケルさんが100万人の難民を受け入れたとき、
「こりゃ、ダメだ」と思った。
(トランプさんも、同じように考えたそうです。)
というのは、難民の中には、ISメンバーが大量に含まれている。
実際、欧州でISテロが頻発している。
今回の選挙では、「反移民、反難民」を掲げる「ドイツのための
選択肢」(AfD)が第3党になりました。
それでも、「メルケルもうダメじゃん」にはほど遠いですね。
なんといっても、4期目に入るのですから。
今回は、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の記事を基に、
「メルケル強さの秘密」を考えてみましょう。
▼メルケル、強さの秘密は、「変わり身の速さ」
WSJ9月22日付から引用します。
<【ベルリン】ドイツ連邦議会選でアンゲラ・メルケル首相から
政権奪取を狙う社会民主党(SPD)のマルティン・シュルツ党首
は今年6月のSPD党大会で喝采を浴びた。
選挙運動の中核である公約の発表に際し、同党首は「われわれは
次期政権で、『婚姻上の平等(同性婚の合法化)』を実現するつ
もりだ!」と宣言したからだ。
だがその翌日、メルケル氏は同性婚の議会採決に反対する長年の
立場を引っ込めた。
SPDが選挙運動で相手を攻撃する際の「材料」を奪ってみせたのだ。
メルケル氏が12年間にわたって政権を維持しているのは、ある種
の計算された政治的変わり身のおかげだ。>
ライバルが、「同性愛者の結婚を認める!」と宣言した。
メルケルさんは、それまで「同性愛者の結婚」に反対していた。
ところが、反対するのをやめた。
それで、WSJの結論は、
<メルケル氏が12年間にわたって政権を維持しているのは、ある
種の計算された政治的変わり身のおかげだ。>
<同氏は自身の保守政党であるキリスト教民主同盟(CDU)の主
義主張から一般市民のムードが離反したとみるや、立場を繰り
返し──ときには唐突に──変えてきた。
このように変化する戦略が同氏の政治的な受け皿を広げ、その
結果、反対勢力にとってみれば、同氏に対して使える攻撃材料
が少なくなってしまうのだ。>(同上)
一般市民のムードがCDUの主張から離れると、メルケルさんは、
立場を変える。
日本でいえば、たとえば、安倍総理が「憲法改正の期は熟した
!」と宣言した(とします)。
ところが、庶民は、シラケている。
野党は、「憲法改正絶対反対!」を叫び、力を伸ばしてきた。
そんなとき、メルケルさんだったら、「憲法改正の期は、熟し
ていないようだ」と変心する。
すると、野党は、「憲法改正反対!」で選挙を戦えなくなりま
すね。
(以上、「たとえ話」です。)
メルケルさんは、こういうことをすると。
<メルケル氏は、右派と左派の間にあった過去の分裂を戦略的
に無視してきた。
それによって、自らの政治的支配の範囲を拡大し、ライバルを
周辺に追いやってきた。
同氏はこれまで、「変化する自らの立場」を売り物にしてきた。
それは同氏の支持者たちが言う「独善をよしとしない姿勢」で
あり、この不確実な世界においてドイツがまさに必要とする姿
勢である。>(同上)
「右派と左派の分裂を無視する」
「変化する自らの立場を売り物にする」
「独善をよしとしない姿勢」
だそうです。
これって、別の言葉で、「軸がない」「節操がない」「信念が
ない」「誠実でない」
などともいえますね。
しかし、逆に「独善的でない」「柔軟性がある」「国民の声に
耳を傾ける」「民主的だ」ともいえます。
<コンセンサスを重視するドイツの統治システムにおいて、「
変わり身が早い」ことへの批判はそれほどトゲを持つものでは
ない。
メルケル氏は、徴兵制、原子力発電、難民、そして最近では同
性婚問題で立場を転換あるいは修正するなど、時に劇的な政治
的シフトを断行してきた。
だが、それは入念な分析の産物であり、社会的変化の反映でも
あるとして売り込むことができた。
この戦略シフトの結果、メルケル氏は左派寄りの有権者から支
持を取り付ける一方、右派寄りの有権者の支持をも堅持してき
た。
一部の争点で見解が一致していなくても大目に見ようとする人
々を取り込めたのだ。>
戦略シフトで、保守の支持を維持しながら、リベラル有権者も
味方につけていると。
日本でいえば、保守は安倍総理の味方でしょう。
これを基盤に、「左」に勢力を伸ばしていく。
たとえば、
・増税引き上げをやめます!
・ブラック企業をせん滅します!
・残業ゼロを目指します!
・子供3人産んだ家庭には、「家購入費を2000万円まで補助
します!」
(国は、ローンを肩代りする。2000万円を30年間かけて払う
ので、財源は足りる)
などなど。
<またメルケル氏の飾らない個性は、カリスマ的人物に疑い深い
感情を長く抱き続けているドイツ人の共感を呼んでいる。
ツイートせず、壮大な約束をするわけでもなく、演説で聴衆を鼓
舞することもない。
スーパーマーケットで買い物をし、自ら料理もし、週末には田舎
のコテージで過ごす。
以前、自分がドイツ人だと感じるのはどんなところかと質問され
た時、メルケル氏はこう答えた。
「ポテトスープが大好きなところだ」と。>(同上)
「庶民的」であることが、メルケルさんの強さなのですね。
しかもメルケルさんの場合、「庶民」を「演じている」感じがし
ません。
本当に、そういう人なのでしょう。
誤解がないように書いておきますが、私は「メルケルさんがドイ
ツの首相でいつづけることは、いいことだ」とはいいません。
イスラム移民、難民の入れすぎで、欧州キリスト教文明は、将来
滅びる可能性がある。
そうなれば、メルケルさんの決断は「歴史的失敗」といわれるこ
とでしょう。
また、彼女が「あまりにも親中」なのも、とても気になります。
それでも、彼女が長期安定政権をつくった理由を知ることは、私
たちの役にたつことでしょう
(引用終了)