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(見出し)

(私のコメント)
日本の選挙は無党派層の動向で大体決まる。
下記の記事では今回の選挙で無党派層は新党に流れたが、これはいわゆる「判官びいき」で反自民の受け皿になっただけでしょう。
但し、ブームを起こすほどにはいかなかったようだ。
また、希望の党は東京だけの特殊事情で全国的には通用しない、といっているが、それは正しいでしょう。
無党派層は飽きっぽくて、同じ政党に二度と入れないそうだ。
だから、新党は次の選挙まで持たない運命だ。
自民党支持層は極左革マル派立憲民主党が保守中道を装って議席を伸ばしたことに危機感を持っている。
この危機感はマスゴミに対する厳しい態度にも表れているが、この辺が今後の動向の注目点になるのかな、と思う。
安倍さんが首相に返り咲いたのも「無党派層の同情票」が大きく左右した。
今回の選挙も「無党派層の同情票」が立憲民主党に集まった。
日本の選挙が無党派層の動向で決まるなら、同情票を集めた方が勝ち、ということか。


(私のコメント終)

(引用開始)
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(見出し)
17/10/26(960号)


48回衆議員選の分析

希望の党はもはや新党ではない

総選挙の結果は、ほぼマスコミ各社の直前の予測通りと言える。ただしマスコミ各社の直前の予測自体は公示前の予測と大きく違っていた事実に注目することが大事である。公示前、ほとんどのマスコミは自民党の大敗と希望の党の大躍進を予想していた。


(中略)

さらなる分析を進める前に、例のごとく各党の勢いの推移を見るため比例区の獲得投票数を掲載する。たしかに比例区の獲得議席比例区の獲得票数にほぼ比例する。しかし小選挙区では一票の重さが異なるので、有権者比例区小選挙区で同じ政党に投票したと仮定しても、比例区の票数に小選挙区議席数が比例するわけではない(一票が重い地方で強い自民党がより多くの議席を占める)。また野党毎に立候補者を立てれば、小選挙区では死に票が増え与党が有利になる。

(図表あり;各党の比例区の獲得投票数と増減率)

この表から逆風の中で自民党が善戦したことが分る。特に全体の投票数の伸び率を若干上回る比例票を得たのは驚くことである。これは自民党陣営と自民党の固い支持層が、最後まで危機感を保ったからと筆者は見ている。このことが今回の選挙で一番重要なポイントである。またマスコミが騒いでいた「森友・加計学園問題」はほぼ影響が無かったと言える。むしろ雇用情勢の好転などによって、若年層が自民党により多く投票しているようである。

無党派層の票は立・民、希望といった新党に流れた。ただし希望の獲得票(比例と小選挙区)の大半は、旧民進党の候補者が持って来たものである(基礎票)。希望の党が独自で集めた無党派層の比例票はせいぜい300~400万票程度と想定より相当少なかったと筆者は推測する。特に小選挙区希望の党という名前での票の上積みを期待し民進党から合流した立候補者にとって、当てが外れたことになった。

一方、立・民には無党派層の票がある程度流れた(比例票は600~700万程度と推定)。しかしこれとても大きなブームを起こしたとは言えない程度の票数である。これも投票日の悪天候が少し影響したと思われる。一方、維新や共産党に流れていた無党派層票は立・民や棄権(悪天候によって)に回ったようである。


筆者は「希望の党に風は吹かない」と言い切って来た(この場合の希望の党民進合流前の希望の党)。この根拠として「東京の有権者(特にに無党派層)の新党に対する投票行動は極めて特殊」であり、これが東京で起ったとしても全国的に起るとは考えにくいことが挙げられる。また無党派層の人々が、次の選挙で続けて同じ新党に投票するケースが少ないことが経験的に言える。したがって都議選で新党の都民フアーストの会に投票したような反自民無党派層は、次の選挙であった今回の総選挙で次の新党である立・民に投票したと見られる(飽きっぽい無党派層にとって、希望の党はもはや新党ではない)。

さらに新党ブームというものは、いつもほぼ東京に限られる現象と指摘した。過去の実例でも、東京の新党ブームが及ぶのはせいぜい首都圏、東海圏、近畿圏の都市部までであった。これまでも新党ブームが地方に波及したケースはほぼ皆無であった。

この話はあまりマスコミが取上げないが、安倍総理が解散を表明した1週間前の9月17日に大阪・摂津市市議会選が行われた。この選挙に「市民ファーストの会」という新党から4名が立候補した。もちろん「市民ファーストの会」は都議選で空前の大躍進をやってのけた「都民ファーストの会」の大阪版である。これには当時の希望の党の若狭議員も支援していた。

ところがこの4名は信じられないくらいの大惨敗を喫したのである(27人中22位、25位、26位、27位)。つまり都民ファースト希望の党)の新党ブームは大阪にさえ全く及んでいなかったのである。安倍官邸はこの選挙の結果も参考にし、解散・総選挙の最終決断を下した可能性がいく分かあるのではと筆者は密かに思っている。

魅力に欠ける候補者

今回の総選挙の結果ほど、大半のマスコミ陣(ジャーナリスト、政治評論家、論説委員など)にとってショックなことは過去に無かったと筆者は推察する。ここ数年、彼等は「安倍一強体制」打倒を目指し画策して来た。22日の深夜、体勢が決まった後にテレ朝系で「朝まで生テレビ」の特番が放送された。この一人と言える司会の田原総一郎氏は番組の最初から荒れていた(酒でも飲んでいるかのように感じられた)。

田原氏は、排除の論理で新党が乱立し自民党が「漁夫の利」を得たと言い張っていた。そしてこの結果の責任は小池氏にあると言う。たしかにほとんどのマスコミ人も同じことを言っている。しかし筆者が調べたところ、「希望の党」と「立・民」の候補者の競合によって自民党が勝ったと見られる小選挙区は全国でわずか12ケ所であった。

仮に両党の候補者が一本化されていたとしても、おそらく自民党議席が5~6程度減るだけであり、自民党の大勝という事実は変らないと考える。たしかに東京の競合する選挙区だけが7ケ所と極端に多かったので、彼等は全体の情勢を見誤ったのであろう。このような考えが薄っぺらなマスコミ人は、足元の東京しか見ていないのである。

また田原氏は「日本の消費税率は低く、20%以上に上げる必要がある」といった例の嘘話を披露していた。これについて本誌16/4/25(第889号)「日本は消費税の重税国家」で指摘したように、軽減税率の適用のない日本の消費税の負担は欧州各国と比べても既に十分重いのである。他にも田原氏はばかげたこと色々とを言っていたが長くなるので割愛する。

安倍政権を嫌うマスコミ人(田原氏のような)が描いたシナリオは、都議選で見せた都民ファースト希望の党)の空前のブームに民進党全体が合流し、安倍政権を窮地に追込むことであった。もしこれに共産党が協力すれば、自民党政権を倒すことも出来ると彼等は夢想したのであろう。

しかし小池氏が「排除の論理」を打出す前に、既に希望の党ブームはほぼ終了していたというのが筆者の見方である。それどころか前段で述べたように「希望の党ブーム」は大阪にさえ及んでいなかったのである。この幻の「希望の党ブーム」に落目の民進党が乗っかても、とても自民党に勝てるとは筆者は思わなかった。

むしろ希望の党に排除されたことによって、民進党左派の立・民は、無党派層の同情票を集め望外の議席数を獲得した。結果的に、民進党の分裂劇によって旧民進党全体では議席を伸すことができた。またもし民進党が合流せず党の分裂がなかったら、どろ船の民進党はさらに沈んでいたと筆者は見ている。

 

(引用終了)

 


(要約引用開始)

http://tameike.net/comments.htm#new
かんべえの不規則発言
<10月23日>(月)

○国政選挙後における溜池通信の定番、「比例の得票数一覧」を掲げておきましょう。これで見ると、党勢が一発で分かります。

(図表あり;過去の衆議院議員選挙の得票数の推移)

○前回とほぼ同じ投票率、というのが出発点です。ただし18歳投票権のお蔭で、ちょっとだけ母数が増えていますね。その分、「若者に強い自民党」が前回に比べて100万票くらい上乗せしていることが読み取れます。議席数は改選前と同じ284議席。全体で10議席減っていますから、これは実質的には大勝利と言えます。

○他方、公明党は700万票の大台を割りました。これは大いにショックを受けているはずです。議席も34から29に5議席減りました。自民党が応援で手抜きをしたのか、それとも組織が緩んでいるのか。党内は荒れるでしょうね。

○次に希望の党立憲民主党は、なんと合わせて2000万票でした。民主党が2000万票以上を稼いだのは2009年以前のことで、2012年、14年は1000万にも届かなかったわけですから、党を分裂させたのは大成功と見ることもできます。真面目な話、自公で2553万、希立共で2516万、ほぼイーブンじゃないか、ということに気付くわけです。

○まあ、実際にはこれから、①両院協議会で全会一致で合流を決めたはずの「希望の党」、②我こそは正統な後継者を自認する「立憲民主党」、③参院にそのまま残っている「民進党」、それに④無所属で勝ち上がってきた野田佳彦元総理など、の四つどもえの「跡目争い」(遺産相続)が始まるわけで、どんなに見苦しいことになるか、ちょっとワクワクしますね。

○希望と立民の2000万票はどこから奪ったか、というとひとつは維新の会が500万票も減らしています。これは希望の党に流れたんでしょうね。それから共産党も150万票くらい減らしています。これは立憲民主党への選挙協力の結果ですから、いわば「輸血」みたいなものですね。そうそう、前回はあった生活の党(現・自由党)の100万票も流入したことでしょう。

○当初の読みとしては、「2005年に小泉首相を支持し、2009年に民主党に入れて、2012年と14年は家で寝ていた」無党派層(おそらく1000万票くらいある)は、どっと小池支持に動くんじゃないかと思われました。しかし彼らは今回も家で寝ていたようです。いや、台風で選挙どころではなかった人も少なくなかったことでしょうけれども。期日前投票をフルに使ったとはいえ、投票率53.68%はやや残念な結果であったと思われます。

○てなことで、やっぱり野党分裂の効果は大きかった。自公で併せて313議席。3分の2ルールを使って衆院再可決もできてしまう。いや、参院も自公で6割の議席を持っているんだから、その必要もないんですけど。それにしても昨今、「与党が勝って結果は現状維持」という選挙は世界的に見て希少です。すごいですなあ。

(中略)
○また聞きですけれども、さる自民党の幹部がこんなことを言っていたそうです。

「地元のために働きたいから、政治家になりたい」という人はともかく、「政治家になれるのなら、選挙区はどこでもいいです」と言った人は、だいたいが碌でもない連中だったねえ」

○真面目な話、人生の一発逆転を託して政治の世界に打って出るような野心家は少なからずいます。そういう人たちに、供託金をなんとかしてあげよう、てな人もどこかから湧いて出ます。今回の総選挙で、そういう候補者がいく分かでも淘汰されたとしたら、それは大いに結構なことだと思います。

○この週末のテレビも、不甲斐ない野党叩きに終始するでしょう。水に落ちた犬を叩くのは楽しいものねえ。来週水曜日には特別国会が開かれるというのに、野党の会派がどうなるのかさえ見えてこない。しかしこの間に、与党は左うちわで高みの見物をしているわけです。内輪もめしている場合じゃないでしょう。こんな箴言があるじゃないですか。

「不平不満を述べる人が得るものは、得てして同情ではなくて軽蔑である」


(要約引用終了)