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       ロシア政治経済ジャーナル No.1746


               2018/4/28


(見出し)
★南北首脳会談、金正恩の戦略は?


(私のコメント)


国家同士の戦いは「戦略」が勝敗を決めるので、軍隊が強いかどうかは関係がない。
戦略とは、具体的に言えば、どこの国と同盟関係を結ぶか、ということだ。
例えば、関ヶ原の戦いでは徳川方も石田側もそれぞれ同盟を結んだが、家康の方が同盟の中身で勝っていた。
西軍の対象は毛利輝元だが、その配下の吉川隊は動かず、小早川は西軍を裏切った。
これでは戦い以前に勝敗は決している。
家康は吉川や安国寺恵瓊長宗我部元親の布陣する南宮山の麓の桃配山に陣を進めているが、余程自信があったのだろう。
同盟戦略がしっかり出来ていたからで、家康軍が強いから攻められなかったわけではない。
下記の記事の通り、北朝鮮核武装やミサイルより同盟が重要だ、ということに気付き、シナにすり寄り韓国に抱きついた。
今後は、韓国とシナを梃にして時間を稼ぎ、経済制裁を緩和するように工作をするだろう。
特にシナはアメリカのシナ融和派の力を使ってその工作を展開するだろう。
シナ融和派はユダヤ金融ウォール街を中心とするグローバリストだが、彼らはトランプを取り込めていないように見える。
シナの戦略は関ヶ原の西軍のようにほころびが出ていて、その力の源泉であるカネの力が弱まっているようだ。
トランプは秋の中間選挙に向けて強気で進むだろう。

 


(私のコメント終)
(引用開始)
全世界のRPE読者の皆さま、こんにちは!

北野です。


皆さんご存知のように、4月27日、南北首脳会談が行われました。

全世界が注目する歴史的会談だったといえるでしょう。


「冷麺を持ってきた」

「南北境界線を、両首脳が手をつないで往復した」


などなど、細かいところは皆さん、テレビでご覧になったこと
と思います。

そこで今回は、金正恩の戦略、今後動きについて考えてみまし
ょう。

 

金正恩の戦略は、祖父、父と同じ

 

去年一年、核兵器実験とICBM実験を繰り返し、世界を恐怖させ
ていた金正恩

今年になって一点、「対話路線」「平和路線」に転換しました。

彼は、何を狙っているのでしょうか?


これ、彼の祖父・金日成、父・金正日の成功(?)例を見れば
わかります。


1994年6月、北朝鮮国際原子力機関IAEA)からの脱退を宣
言しました。

同年10月、アメリカと北は、「枠組み合意」を締結。

内容は、

北朝鮮は、核開発を凍結する

北朝鮮は、NPTに復帰する

・アメリカは、北に軽水炉を提供する

・アメリカは、北に毎年食料と50万トンの重油を供与する


でした。

しかし、北朝鮮は、米朝合意後も、着々と核開発をつづけたの
です。


2003年1月、北は、再度NPTからの脱退を宣言。

米朝合意は、破棄されました。

同年8月、六か国協議開始。


2005年2月、北「核兵器保有」を宣言。

同年6月、金正日、「北朝鮮には、核兵器を持つ理由がない」と

「非核化の意思」を示す。

同年9月、北朝鮮が「核放棄」を約束する、「六か国共同宣言」
が採択される。


ところがその後どうなったか、私たちは知っています。

これらの経験から、何がわかるでしょうか?


北朝鮮の「非核化宣言」には、何の意味もない

北朝鮮が「非核化宣言」する理由は、「経済支援を受けるた
め」である。


こう考えると、金正恩の戦略は、規模が大きくなっているもの
の、金日成金正日と変わらないことがわかります。

彼の戦略は、


・核実験、ICBM実験によって脅威を高める

・一点、「対話路線」に転し、「非核化宣言」もする

・「非核化」を条件に、「制裁を解除させる」「経済支援を受
け取る」


ことだとわかります。

もちろん、「本当に非核化する意志」などないのでしょう。

 

▼それでも米韓は、「対話」せざるを得ない

 

では、米韓は、北と対話するべきではないのでしょうか?

これは、「せざるを得ない」のですね。

なぜ?


北朝鮮問題については、


日米韓を中心とする「圧力派」

中ロを中心とする「対話派」


にわかれていました。

中ロは、「前提条件なしの対話」を求め、

日米韓は、「前提条件あり=非核化前提の対話」を求めていた。


そして、金正恩は、「非核化前提の対話に応じる」といった。

彼は、「圧力派」の要求をのんだので、対話するしかないので
す。

日本では、「だまされるから対話するな!」という意見が強い。

これまでの経緯をみれば、理解できます。


しかし、「非核化前提の対話に応じろ!」と圧力を強化して、

むこうが「わかりました。応じます」ときた。

それで対話に応じないのは、論理的ではありません。


日本の理屈は、論理的でないので、日本は孤立し、蚊帳の外
に置かれたのです。

 

北朝鮮問題のこれから

 

では、北朝鮮問題は、これからどうなるのでしょうか?

各国の思惑を見てみましょう。

この問題に関わっているのは、

日本、アメリカ、韓国、中国、ロシア、北朝鮮

です。


そして6か国すべてが、「朝鮮半島の非核化をのぞむ」として
いる。

しかし、温度差があります。


日本、アメリカ、韓国は、

北朝鮮に核攻撃されるかもしれないから」

反対している。

切実です。

しかし韓国は、「金正恩と仲よくすることで戦争を回避するこ
と」を第一に考えている。

だから、「金正恩のいいなり」になる可能性が強い。


トランプは、歴史的「米朝会談」で「核放棄を実現する」決意
を示しています。


一方、金正恩は、「核兵器を破棄すれば、フセインカダフィ
のように殺される」と確信しているでしょうから、

容易に応じないでしょう。

「段階的な非核化」などを主張し、見返りに「制裁緩和」「経
済支援」を求めてくると思われます。


日本の今後の役割は、

「非核化が実現するまで、制裁を解除したり、経済支援をして
はいけない」

とアメリカを説得することです。

これに関して二つの注意点は、


・過去にだまされた具体例をあげて、トランプに主張すること

・アメリカに主張を伝えても、大声で国際社会に主張しないこ


この二番目は何でしょうか?

世界中のメディアを見ていると、どこでも今回の「南北会談」

「大歓迎!」なのです。


ですから、日本だけ大声で「だまされるな!」と騒げば、「

国際的 KY国」のレッテルを貼られてしまいます。


「日本は、『非核化前提』の対話を歓迎します!」といい、

トランプには、「過去のこんな例もありますから、十分気をつ
けてください」というのです。


中国、ロシアはどう動くのでしょうか?

この二国も、一応北朝鮮の核に反対しています。

しかし、「攻撃される可能性がある」日米韓とは、切実度が全
然違います。

中ロは、両国を「合法的核保有国」と認めているNPT体制が崩
壊することを恐れている。

北朝鮮がOKとなれば、日本や韓国が核保有国になるのを止める
のが難しくなります。


もう一つは、戦争になって「緩衝国家」北朝鮮が消滅すること
を恐れている。

「緩衝国家」というのは、両国の主敵アメリカに対する「緩衝
国家」という意味です。


というわけで、中ロは、「北朝鮮を守る」ために行動すると予
想されます。

具体的には、「北が歩みよってきたのだから、制裁を緩めよう
!」という運動を開始する。


日本は、アメリカ経由でこの動きを封じる必要があります。

「トランプさん、また北にだまされて、ピエロになりますか?」
と。

負けず嫌いのトランプさんは、「俺は絶対ピエロにはならない
!」ということでしょう。

 


(引用終了)