1901-1-1409-1/2メルマガブログ転送近代主義とアメリカ主義の終焉

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(見出し)
【平成30年 年末特別対談】伊藤貫氏に聞く[桜H30/12/30]

(私のコメント)
(要約開始)
1.ここ数年、とても面白い世界になった。
というのは、今まで世界を動かしたアメリカンヘゲモニーアメリ覇権主義が終わる歴史の転換点にあるから。
これまでのアメリカが世界を支配する、というアメリカ一国支配、アメリカ覇権は行き詰まった。
アメリカ国民自身ががトランプ大統領を選んで、その路線を拒否した。
各国はそれを知ってアメリカから離れようとしている。
だが、日本はアメリカに追従していればよい、という考えから抜けない。
2.同時に重要なのは、五百年続いた近代が終わろうとしていることだ。
近代の前は中世だが、中世というのは、この世界の向こう側に神が居て、この世の物質よりも神を崇める時代だった。
ある意味、その時代の方が私は部分的には好きだ。
(神の存在がある、ということは人間にとって安定することが出来て、その中で安心して生きることができるのではないか。私も好きだ。)
だが、それが行き過ぎてしまい、ルネッサンスが起きて近代という人間中心主義の時代になった。
3.近代は宗教改革に始まり、1618年から1648年三十年戦争ウェストファリア条約)からフランスヘゲモニーとなった。
その後、十八世紀フランス啓蒙主義となり、更に十九世紀は物質的な時代で、産業革命ベンサム功利主義の時代となった。
ベンサムの高利主義とは、役に立つことが良いことだ、目に見える物質的なものを重視するのが良い、という思想だ。
二十世紀はその時代で、特にアメリカニズムというのは、その思想と同じでマテリアリズム物質主義だ。
物質主義とは、科学、技術、お金、のことで、アメリカ人はこれらを崇拝した。
アメリカ人は経済パワー、軍事パワー、テクノロジーパワー、によって世界を席巻しようとした。
4.十九世紀から庶民レベルでも神の存在を信じなくなってきた。
マテリアリズムに対抗する神の存在が世界中で衰退した。
神が居ない、崇高な存在がない時代、の思想概念が二十世紀の主流となった。
(中世は神様の側に行き過ぎてしまい、近代は人間の側に行き過ぎたのだ。人間の歴史はまだ若いのだ。
バランスをどこで取るかが今後の課題だろう。)
特に恐ろしいのはポストモダンの連中で、彼らは相対主義すなわち「真実というものはない、相対的な各自の認識だけだ」と主張する。
重要なのは、各自皆が持つ共通の価値基準がない、ということになって、議論が成り立たなくなっていることだ。
現在の状況は、今のトランプ政権の通り、各勢力の間でコミュニケーションが出来なくなっている。
対抗する勢力、例えば、共和党民主党はお互い相手の言うことに聞く耳を持たない。
客観的な事実でさえ、見方が違うと幾通りにもなってしまう。
対話が成り立たないから民主主義が成り立たず、建設的な議論が成り立たない時代となった。
そうなると、個人の利益を最大にする利己主義が台頭してくる。
利己的に行動することが合理的、正当化されることになった。
「今だけ、カネだけ、自分だけ」ということが正しい、と皆が考える時代(すなわち神の居ない時代)だ。
5.現代の神が居ない時代の人は、アイデンティティポリティックス、例えば私は黒人だから、私はトランスジェンダーだから、
というような自分が立つある立場から政治的発言を行う。
そして、異なるアイデンティティポリティックスの間では会話が成り立たない。
共通の場がなく、喧嘩しているしかない恐ろしい時代が出現したのが、近代の最終的な姿だ。
そこで、アメリカンヘゲモニーの終焉と、もう一つ、五百年単位で見た近代の終焉が重なった面白い時代だ。
面白いというより、とても恐ろしい時代だ。
(これからどうなるか、というと過去の歴史から見れば、暴力すなわち戦争が時代を進める。
ただし、核兵器があるから今までのような大砲を撃つような戦争でなく、小競り合いと貿易戦争のような戦争になる。)
6.非常に大切な見方なのだが、現代は時間的な幅が無くなってきた。
伝統とか、文化というものが無くなってきて、刹那的だ。
文化とは、人間のありかたのことで、どういう町に住み、どういう仕事をし、どういう生活するか、というものだ。
すなわち、人間の生き方とそれを支える価値観の問題だ。
そして、文化は三世代続かないといけない。
初代はまず、スタイルを作り、それを二代目が継承発展させ、三代目が修正して完成させる。
100年続いて初めて文化なのだが、現代人はそういう文化がない。
現代人は、誰も百年後のことなんか考えていない。
神や時間など、見えないモノの価値が分からなくなっている。
7.トランプ大統領とは自然現象だ。
伝統的なアメリカ人でないし、彼は伝統的アメリカ人のエリート、エスタブリッシュメントが大嫌いだ。
移民二世で野生児の処があるので、自然現象的な人のようにみえる。
子供の時からブルーカラーの子供たちと付き合うのが好きで、金持ちの子供は大嫌いだった。
彼は、アメリカのエリート、エスタブリッシュメントは偽善者だ、と考えている。
自己の利益を追求しているのに、言うことだけはきれいごとを言う、という偽善的態度が気に入らない。
助けてくれたアメリカインディアンを殺して食料を奪ったり、
奴隷をアフリカから連れてきて鞭でたたいてこき使ったりしてエスタブリッシュメントになった。
そのくせ、彼ら自身は自分たちアメリカ人ほど道徳的に崇高な立派な国民はいない、と考えている。
第三代大統領ジェファーソンは独立宣言で崇高な人間平等を謳っているが、自分は奴隷制を推進した。
トランプ大統領は野生児で自然児だから嗅覚が効いていて、こういう偽善がわかるし嫌う。
アメリカ庶民はエスタブリッシュメントの偽善を嫌っていて、それがトランプ大統領の支持基盤になっている。
8.アメリカは富裕層の政治を常に行っていて、庶民はそれを嫌うが、マスコミは富裕層が所有しているからそういう庶民の思いは表に出ない。
インターネットが出てきてそういう庶民の思想が反映されるようになって、トランプ大統領が出現した。
アメリカの伝統に反知性主義がある。簡単に言えば頭の良いお坊さんが説く神様でなく、自分が感じる神様を信じるというものだ。
つまりエリートを中抜きして神様と直接取引するわけだ。
別の観点から見れば、プラグマティズムアメリカ庶民の中にあってトランプ大統領の支持基盤になっている。)
トランプ大統領の支持は広がっており、共和党の九割が現職支持になっている。
アメリカの労働者の四割、黒人の二割、ヒスパニックの三割、が支持に回ってる。
彼の政治は分かりやすいので、黒人の悪口を言っても支持が出て来る。
彼はガキ大将の野生児で、皆それを面白がっている。
彼の嘘はその場だけで、すぐわかる嘘だから皆許してしまうが、ヒラリーなどの嘘は計算された陰険なもので、嫌われる。
オーセンティックすなわち本物だ、と噓を含めて皆が見ているから強い。
9.中国人は最初ユダヤ系の人を使って、彼を操れると思い、確かに始めは操られていたが、その後軽くあしらわれていることに気が付いた。
また、対中強硬派の意見が正しいと考えるようになった。
中国人自身が読み違えた事に気が付いて、キッシンジャーに泣きついたがもう歯が立たないと断られた。
今後の対中政策は、四つのシナリオが考えられる。
一つは戦争することだが、核兵器があるからできない、二つ目は中国封じ込めだがこれもうまく行かない。
中国は世界との貿易が大きくて、封じ込めようとしても各国が反対して出来ない。
アメリカ自身も中国貿易が無くなると困る。
三番目はアメリカが中国の後塵を拝して世界二番目の国として生きてゆく、というものだが、それはアメリカが耐えられない。
四番目は中国との取引する、というもので、お互い勢力圏を決めて世界を分け合うことだ。
そして、四番目のシナリオが一番可能性が高いが、その時日本は無力だ。
(話し手の伊藤貫さんは日本に警鐘を鳴らして日本独立を促したいからその意味では正しい。
だが、ディールも成功しないだろう。
中国は約束を守らないことに何の呵責もないし、嘘は敵を倒す武器だと思っている民族だ。
アメリカもそれを薄々分かってきている。
ディールはそういうあらゆる力の反映だから、常に流動的で争いが終わる時はないのではないか。
これはギリシャやローマの時代から世界の覇権争いと同じだ。
結局、どちらかが潰れるまで続く戦いになるだろう。)
10.日本の保守のように中国を侮ってはいけない。
それよりも、日本はアメリカの保護領で、国防と経済はアメリカが支配し、核武装は絶対許さない、というのがアメリエスタブリッシュメントの考えだ。
こちらの方が保守としては重要な問題で、中国の悪口を言っている場合でない。
日本は奴隷のようなアメリカ依存から独立しないといけない。
日本の保守は中国や韓国の悪口を言っている場合でなく、アメリカからの独立を考えないといけない。
11.経済学は人間の生き甲斐とか文化とか言うものは数値化できないので一切排除されている。
その弊害が起きていて世界中で庶民の反乱が起きている。
各国のエスタブリッシュメント、勉強エリート達は全く庶民の文化とか生き方の幸せなどに全く関心がない。
経済学的に数値化された正解を押しつけるが、例えば労働力がなければ移民を入れろ、ということに繋がる。
だが、移民が入ったら社会が分断され、文化が壊れて住みにくくなるが、それにはお構いなしだ。
経済学的に正しければ、それが正義だから皆それに合わせろ、現実が間違っている、というのがエリートだが、
庶民は現実が正しく理論が間違いだ、考える。
それが具体化されているのが保守といわれる自民党政治で、庶民の生きる喜びとか楽しさとかが忘れられ、金銭的に換算される政治だけなのだ。
12.政治というものは完全なもんは無く、うまく行っても六割良ければよしとしないといけない。
逆にどんな場合でも四割は失敗だ。
また、人間は数量化できる部分と出来ない部分があって、その割合は六対四だ。
人の生活にお金は必要だが、それは生活の六割の部分で、お金で測れない部分が四割ある。
人間は物質経済活動に隠れた、文化的精神的部分が四割あってこれが重要だ。
日本の保守と革新はカネの配分で争っているだけで、この精神的な四割部分については触れない。
医者から余命三ヶ月だと言われたら、はっきり分かるが、人生の価値は六割の物質活動でなく、四割の精神活動だ。
日本もアメリカのマネして金儲けばかりだが、四割の文化がドンドン失われている。
庶民の幸せやその文化が大事だと気が付くべきだ。
(この最後の結論が一番大切で、現在の日本にかけたものだ。
落語にある通り、徳川時代の方が庶民は生き生きとしていた。
これは政治を司る武士たちが、天明の飢饉以降百姓中心の政治をしたからだ。
勿論その政策は六割が良い政治で四割が悪かったり失敗だったりしたのだが、政治というもはそういうものだ。
逆に共産主義のように100%完全な理想主義政治の方が、一億人の大虐殺で終わる悲劇になる。)

 

(要約終了)