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https://gendai.ismedia.jp/articles/-/64084
長谷川 幸洋ジャーナリスト

(見出し)

令和最初の選挙は、やはり「衆参ダブル」になると見る3つの理由
4月末には最終決断が下される

(私のコメント)
この記事は消費税増税延期と衆参ダブル選挙を予測するが、多分そうなるのではないか。

 


(私のコメント終)

(引用開始)
風が吹き始めた
7月の参院選が衆参ダブル選挙になる公算が高まっている。野党の共闘体制が整わない一方、10月に予定される消費税引き上げも経済環境の悪化で延期される可能性が高いからだ。安倍晋三首相は今月末の訪米後にも最終決断する。

永田町でも衆参ダブル選の可能性に言及する関係者が増えてきた。自民党古賀誠・元幹事長は4月8日、BSテレビ番組でダブル選について「やるべきだ。このタイミングを逃したら、解散はなかなか難しくなる」と語った。

古賀氏だけではない。立憲民主党枝野幸男代表は3月26日に発表した「当面の活動方針」で「衆参同日選挙も視野に入れて衆議院選挙の公認候補者擁立作業を全国的に進める」と書き込んだ。与野党ともに「7月はダブル選ではないか」という見方が広がっているのだ。

理由はさまざまだ。

永田町の住人たちは野党の分裂状況を指摘する。野党は参院選の共闘体制すら十分に整っていない。国民民主党自由党には「参院選比例区は野党が統一名簿を作って戦うべきだ」という意見があったが、立憲民主党は応じなかった。

立憲の枝野代表は先の活動方針で「参議院選挙の比例区は『立憲民主党』として戦うことを再確認し、20名以上を目標に擁立作業を急ぐ」と明記した(https://cdp-japan.jp/news/20190326_1488)。統一名簿の話はこれで完全に消えてしまった。

1人区についても、32選挙区中の24区に独自候補を内定している共産党に対して、他の野党は候補取り下げを期待しているが、共産は「相互推薦・支援」を訴えて応じていない。他党の側には「共産を支援したり、支援を受けるのはマイナス」との懸念がある。

4月7日投開票の北海道知事選では、共産を含めて野党統一候補として擁立した石川知裕氏が自民党候補に惨敗した。野党共闘が成立したとしても、これでは参院選勝利はおぼつかない。逆に、自民党は手応えを感じている。

ここで安倍首相が衆院を解散し、ダブル選に打って出たら、どうなるか。衆院選は1つの区で1人しか当選しない小選挙区が主舞台なので、野党も1議席を争って、互いに戦わざるを得ない。参院野党共闘が成立しても、効果は半減してしまうのだ。

立憲は「衆院選の候補擁立を全国的に進める」という先の文言に続けて、わざわざ括弧書きで「前回他党や無所属で立候補した方で、立憲民主党と政策理念等を共有する方を含む」と書き込んだ。

これは、ダブル選の可能性をにらんで「他党からも候補者の引き抜き工作を始めるぞ」と宣言したも同然だ。枝野代表は記者会見で「参院選で連携しているので、失礼だと思う」と名指しこそ避けたが、ターゲットになるのは国民民主党である。

ようするに、立憲は参院選比例区でも衆院選でも、野党共闘路線に与せず、独自の戦いを展開する覚悟を固めている。共産も似たようなものだ。こんな野党の姿勢は、安倍政権にしてみれば「願ってもない展開」であるのは間違いない。これが1つ。
消費増税は困難、という現実
政治状況に加えて、経済情勢も一段と厳しくなった。

日銀が4月8日、公表した地域経済報告(さくらリポート)は全9地域のうち東北、北陸、九州・沖縄の3地域で景気判断が引き下げられた。3地域の引き下げは6年3カ月ぶりだ(https://www.boj.or.jp/research/brp/rer/data/rer190408.pdf)。中国向けの工作機械や電子部品の輸出が低迷し、9地域すべてで海外経済減速の影響を指摘する声があった。

内閣府が8日に発表した景気ウオッチャー調査でも、3月の現状判断指数が44.8と前月に比べて2.7ポイント低下した(https://www5.cao.go.jp/keizai3/2019/0408watcher/watcher1.pdf)。景気は明らかに減速している。

そんな中、国際通貨基金IMF)は9日、世界経済見通しを発表し、2019年の成長見通しを3.3%と1月時点の見通しから0.2%ポイント引き下げた。その中で、リスク要因として米中貿易摩擦と英国の欧州連合EU)離脱問題を挙げて、次のように指摘した(https://www.imf.org/ja/Publications/WEO/Issues/2019/03/28/world-economic-outlook-april-2019)。

世界の経済成長の勢いが振るわず、景気低迷に対処する政策余地が限られる中、経済活動を阻害しかねない政策の誤りを避けることを主たる優先課題とする必要がある。…金融政策によって物価上昇率中央銀行の目標に向けて順調に近づけ、…期待インフレ率を安定的に保っていくことだ。…財政再建の必要があり金融政策が制約される場合には、財政再建のペースを調整して、…安定性を確保しなければならない。
ここで「経済活動を阻害しかねない政策の誤り」とは、まさに日本の消費税引き上げである。百歩譲って、財務省がいう財政再建の必要性を認めたとしても「財政再建のペースを調整して、…安定性を確保しなければならない」と指摘している。

IMFは0.2%ポイントの引き下げでも控えめと見ているようで、序文では「下振れリスクが現実化した場合、見通しの劇的な悪化もあり得る」と異例の表現で警告した。「劇的な悪化」とは、まさにリーマン・ショックを思わせる。

3月29日公開コラム(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/63795)で書いたように、安倍首相は6月28、29日に大阪で開かれる主要20カ国・地域(G20)首脳会議で議長を務める。そんな立場の首相がIMFが指摘した「政策の誤り」を犯すだろうか。

逆に、安倍首相は消費増税の再延期を決断し、それを理由に衆院を解散する可能性がある。大義名分は「増税を予定してきたが、内外経済はリーマン・ショック級になる可能性があるので今回も延期する。それでいいかどうか、国民の声を聞く」という話になる。

いよいよ秒読みへ
それとは別に、ロシアとの北方領土交渉が進展すれば、もちろん解散だ。安倍首相の念頭にあるのは歯舞群島色丹島の2島返還だが、国内には「国後、択捉両党を含めた4島返還でなければダメだ」という声が強いからだ。これも国民の声を聞く理由になる。

安倍首相は4月22日から欧米歴訪の旅に出る。トランプ大統領とは26日に会談する予定だ。先のコラムでも指摘したが、5月と6月に来日が決まっているトランプ氏と4月にも会談するのは、米中貿易戦争の行方を見極める狙いがあるからだろう。

中国について、トランプ氏と直接、意見交換したうえで、消費税の扱いを最終決断するはずだ。5月1日には新天皇が即位し「令和の時代」が始まる。増税が予定される10月の22日には、大勢の各国元首を招いて「即位礼正殿の儀」が盛大に開かれる。そんな新時代の幕開けを、増税で冷水をかけるような判断をするかどうか。

4月の日米首脳会談以降は最終決断に向けて秒読み体制に入る。


(引用終了)