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http://kotobukibune.at.webry.info/201507/article_19.html
(見出し)
中華帝国の野望と来るべき世界

(引用開始)
1.中国の抗日式典
 
ロシア中部ウファで行われ、7月10日に終了した上海協力機構の首脳会議での記者会見で、中国の程国平外交副部長が、今年9月初めに中国で行う抗日戦争勝利70周年祝賀イベントに上海協力機構加盟6ヶ国首脳が出席することと、習近平国家主席が日本の安倍総理を招待したことを明らかにしました。
 
このイベントは中国が「戦勝国」として自国の存在をアピールする式典とみられているのですけれども、上海協力機構の加盟国のみならず、日本や韓国、北朝鮮、欧米諸国に加え、東南アジア各国の指導者を招待し、更には、中央アジア中南米の各国合わせて50ヶ国に声を掛けています。
 
ところが、その殆どの国が返事を保留しているようです。やはり、日本および各国の動向を見定めようと様子見しているのでしょうね。
 
(中略)
2.ワールドオーダーを巡る綱引き
 
筆者は3月8日のエントリー「習近平が皇帝即位を宣言するとき」で、このパレードは、習近平の"皇帝即位式"であり、これに各国首脳が参加することは、中華皇帝即位の箔付けにされ、安倍総理が出席すれば、習皇帝に膝を屈したと解釈・喧伝するのではないかと述べたことがありますけれども、やはりその懸念通りになりそうな気配が漂ってきました。
 
ただ、現時点で各国が返事をせず様子見をしているということは、躊躇するだけの理由があるということです。
 
筆者は今年5月に行われた日米首脳会談後に「境界の彼方 未来篇」エントリーで、日米両国は日米首脳会談後、共にニューワールドオーダー、"境界の彼方"に向かう意思を世界に示したのに対して、中韓は自らをオールドワールドオーダーに留まり、世界各国をそこに引き止まらせようとしている、と述べましたけれども、今、正に、新旧ワールドオーダーのどちらに属するかを巡っての駆け引きというか綱引きが行われていると思うんですね。
 
もしかしたら、中国からの招待に返事を保留している各国もその辺りを敏感に感じ取っているのかもしれませんけれども、
それを後押しするのは、おそらくはニューワールドオーダーはこういう世界なのだ、というビジョンではないかと思いますね。
 地政学者の奥谷奥山真司さんは、中国の南シナ海での行動について、ロバート・カプランの書籍を自身のブログで取り上げているのですけれども、そこに、中国からみた南シナ海の見解を紹介しています、次に引用します。
 
●北京には怪しい「特効薬」があふれていた。それは「中国は守りに徹している間に、アメリカは侵略している」というものだ。その核心にあるのが南シナ海の問題だ。
 
●北京では、タカ派ハト派も関係なく「中国が近代に入ってから西洋の列強に大きな被害を受けた」という感情が深く共有されており、彼らは南シナ海の問題を、例外なく「国内問題である」とみなしている。
 
●なぜなら彼らは単純に「南シナ海は、海洋に伸びた中国の領土である」と認識しているからだ。
 
●ある晩、私が中国の学生向けに開催したセミナーでは、緊張に震えながら恥ずかしそうにしていた若者が、「なぜアメリカは我々の調和と慈愛に対して覇権で対抗しようとするのですか?アメリカの覇権は中国の台頭に直面すれば混乱を招くだけです!」と吐き捨てるようにコメントしていたほどだ。
 
●北京の理屈からいえば、アメリカの権益はまたして「覇権的なもの」と映る。北京の理屈から言えば、アメリカこそが「アジアを支配下におさめて、その莫大な戦力投射能力を、野蛮な形で発揮している」ということになる。
 
●つまりワシントン政府こそが南シナ海の紛争を「煽る」存在であり、中国ではなくアメリカこそが「抑止されるべき存在」であることになるわけだ。
 
●結局、中国は東アジアにおいて儒教の価値観を基礎とした冊封体制を2000年近くも維持してきたのであり、ヨーロッパの勢力均衡体制よりはるかに調和がとれて、戦争の少ない状態を維持してきたということになる。
 
●したがって平和の維持に関して言えば、「欧米諸国は中国に何も教える資格はない」というのが彼らの言い分なのだ。このような独特な感覚は、彼らの地理観によってもうかがい知ることができる。これについては究極の解決法のようなものは存在しないといえよう。
このように、日本からみれば、なんと身勝手な見方だと思うかもしれませんけれども、これが彼等の感覚なのであれば、カプランが指摘するように「究極の解決法のようなものは存在しない」ということになりますね。
 
まぁ、彼等の言い分のように、中華帝国による冊封体制で各国が平和になるのなら、まだよいのかもしれませんけれども、その平和は民衆にとっての安寧を意味するとは限りません。なぜなら、それは国民の自由を抑圧した上に築かれる"平和"にしか過ぎないからです。それは今の中国をみれば明らかですよね。
 
中国政府の人権意識のなさや横暴については、改めて述べるまでもありません。最近は、株式市場でも自由に介入し意のままにできることを世界に見せつけました。これらから類推すれば、中華帝国冊封体制の中では自由が抑圧されることはもう目に見えていますね。
 
一方、近代西洋文明は民主主義を基盤としています。自由と民主の考えが底流にあります。ですから、今、中国が世界と起こしている摩擦は、つまり長年冊封体制を維持してきた過去を成功体験とする中華文明と、近代西洋文明の衝突でもあると思うんですね。
 
その意味では、almanos様の指摘するとおり、特亜問題とは、「自由に対して受け容れがたい相違点を持つ文明の対立」問題だといえると思います。
 
それを解決するだけのニューワールドオーダーのビジョンを日本が簡単に示すことができるとは思いませんけれども、少なくとも、中華帝国という世界を、各国が受け入れる積りがあるのかどうか、それを問いかけ、"中華版ワールドオーダー"はニューワールドオーダーなどではないと示すことが大事だと思いますね。
 

(引用終了)
(私のコメント)
シナは周回遅れの帝国主義としてアメリカに挑戦しようとしている。
だが、金融同盟を結んでいるからドルの軛(くびき)から逃れられない。
日本は戦後七〇年の平和実績を使ってニューワールドオーダーを世界に示し、賛同を得て中国を封じ込めるべきだろう。
この点では安倍さんはよくやっているように思える。

(私のコメント終)