1502-19-627-2/27メルマガブログ転送不労所得と勤労所得

ブログ

http://tameike.net/comments.htm#new
かんべえの不規則発言

 


(引用開始)
○先月以来のピケティ熱が覚めやらず、何かにつけて「r>g」が脳裏に浮かぶ。先日来、「そういえば、不労所得>勤労所得である、とハッキリ書いていた本がどこかにあったなあ・・・」と考えていたのであるが、突然、思い当った。

「そうだ。『金持ち父さん 貧乏父さん』だ」

○と言っても、ワシはこのベストセラーを読んでいないのである。たしか「同質的なラットレースを避けよ。資産を働かせてカネを稼がせよ」みたいなことを言っていたはず。でも、それの本質って、r>gのことだよね。

○そこで本日、買ってまいりました。もともとは2000年に出たベストセラーですが、今書店に並んでいるのは、ちくま書房の改訂版です。さすがは全世界3000万部のベストセラー。あっという間に読めてしまいました。目指す箇所は257ページにありました。


所得には次の3種類がある。

1.ふつうの勤労所得

2.ポートフォリオ所得(株や債券)

3.不労所得(不動産投資)


○貧乏父さんは、「学校へ行っていい成績を取り、安定した仕事を見つけろ」と言って、(1)勤労所得を得るように勧めた。これに対し、「金持ちはお金のためには働かない。自分のためにお金を働かせる」と教え、勤労所得は早く(2)や(3)に換えてしまえ、と勧めた。言われてみればその通りで、税金は勤労所得に対するものが一番高く、いちばん安いのが不労所得である。つまり、g<rが金持ち父さんの教えである。

○トマ・ピケティの立場からすると、「そんなことだから富の不平等が生じる」となるわけだが、ロバート・キヨサキの視点から行くと「でも、これって誰でもできるもんじゃないよ」ということになる。確かにこの本が言っているような「ファイナンシャル・インテリジェンス」を身につければ、5%以上のrを維持することはけっして不可能ではないだろう。ただし、そのためには会計やら法律やらいろんなスキルを身につけなければいけないし、適度に失敗もして経験値を稼ぐ必要もあるらしい。そしてもちろん税務署は敵になる。

○そもそもこういうベストセラーが成立するということは、アメリカ人といえども大多数はフツーの日本人と同じように「リスクが取れない」体質である、ということだ。つまり貧乏父さんの方が圧倒的な多数派なのである。しかもロバート・キヨサキは、今では明らかに投資よりも著述業と講演と教材販売で稼いでいるわけで、生徒さんたちがあまり優秀でないからこそ、繁栄が保証されているという図式も垣間見える。やっぱり不労所得でおいしい思いをする(金持ち父さんになる)ことができるのは、ほんの一握りなのだと思いますぞ。

○ところで、アメリカ政治をかじった者としては、本書からついつい以下のような余計なことも考えてしまうところである。

●この題名って、要するに「民主党お父さん<共和党お父さん」だよね。

●著者はきっとオバマケアを苦々しく思っているし、ひょっとするとティーパーティの支持者かもしれないな。(本書の中には、ボストン茶会事件も登場する)

●教えている中身は、限りなくピーター・ティールのようなリバタリアン思想だわなあ。

○当たり前のことですが、本書はマネー本として、あるいは自己啓発本として非常に優れております。バランスシートの説明など、文字通り小学生でも理解できるようになっているし、最後の方は「俺もいっちょやってやるか」的な気分にさせられる。

○とはいうものの、ワシはつい先日、リーマンショック以前に買い込んだ株を7年ぶりに売ったところである。マネーゲームはしばしお休み。当分は「見る阿呆」で行きますわ。

(引用終了)

(私のコメント)

人間は本来、勤勉に働いて収入を得て生活してゆくのが一番いい。
だが、収入と支出が同じ、ということはない。
どうしても余剰財産が出来、又その額に個人差が出るのはやむを得ない。
資本主義はこの自然な流れを「私有財産の尊重」ということで容認して制度を作った。
共産主義は平等を理想としたため私有財産を否定したため、自然をぶち壊すことに成り失敗した。
私有財産は資本として利用され、そこから利潤を得ることが宗教的に容認されたことで西欧の資本主義は発展した。
イスラムは原則として利息を取ることを認めていない。
しかし、実質的には利息を含む商業活動をおこなっている。
また、相続によって子供によりよい生活を残してやる、と言うのはやはり人間の本性だ。
自分の遺伝子をこの世に残して死んでゆくのは生物の本能だからだ。
共産主義はそれも否定しているが、現実の人間から出発しないで頭で考えた理屈でやろうとしてもダメだ。
水は低きに流れるから、川を埋め立ててもダメなのと同じだ。
そこで、誰でも勤勉に働くと同時に財産管理をしっかりしないといけない。
日本人は財産管理の部分を低く見て何か悪いことのように考えがちだが、両方大切なのだ。
共産主義が日本で根強く受け入れられているのもそのせいがある。
聖徳太子の十七条憲法も「和をもって尊しとなす」とあるが、その為には財産がある程度平等である必要がある。
上記のブログで紹介された本は財産管理の方を強く強調しているが、その社会常識を覆したいのだろう。
日本人は財産管理が下手で、例えば「投資信託」は株価が最高値の時に一番売れる。
そして必ず損しているのが過去の実例だ。
財産管理も勉強と努力が必要で、その点では職業について勤勉に働くのと同じなのだ。
日本は職業については学校で教えているが、財産管理は一切教えない。
だから独学するしか無いのだが、財産管理を上手にやっている人はそれを言わないし、ましてや教えることはない。
たまに声高に言う人がいるが、詐欺師か大口を叩いているだけで内容を吟味しないといけない。
大概商売か眉唾ものだ。
やはり仕事と同じで、自分で体験し、失敗し、体で感知しないといけない。
禅語では「冷暖自知」というそうだ。
やはり、職業と財産管理とをバランスよくやるのが良いのだろう。
丁度、共産主義と資本主義とをバランスよくやるのが良いのと同じかもしれない。

 

(私のコメント終)