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 「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成29年(2017)5月11日(木曜日)
        通算第5287号  <前日発行>

トランプ大統領、ヒラリーを庇ったコメイFBI長官を解任
  政権内部の敵を炙り出し、陣営を引き締める人事戦略の一環

(私のコメント)
このニュースはあまり大きく報道されないが、今後のアメリカの動向を知るうえで重要だ。
つまり、一言で簡単に言えば、今後は軍事関係者が優先される、ということだ。
恐らく、次のFBI長官は軍に近いか、パイプのある人が指名されるだろう。
そうすると、民主党マスゴミメディアなどのリベラルサヨクグローバリズムウォール街金融などは少し分が悪くなる。
但し、そういう兆候が見られる、ということでそれらが排除される、ということではない。
政府というのは色々な勢力の複合体だからその勢力関係に少し変化があった、ということだ。
我々庶民は権力の表面に現れた変化を観察してその底に流れる深層の海流がどの方向に向かうかを何時も推察する必要がある。
これは、株式投資に必要な態度だ。
この流れ、つまりアメリカでペンタゴンの軍事勢力が強くなることが日本にとってどう影響があるか。
答えを先に言うと、これは有利に働く。
アメリカには本来ストロングジャパンと言って日本が強い方がアメリカの国益に沿うものだ、という考え方がある。
この反対がウィークジャパンで弱い方が国益だ、という勢力だ。
ストロングジャパンは共和党、軍部、ナショナリズムのアメリカファースト保守主義者、国内優先派だ。
ウィークジャパンは民主党国務省グローバリズムのシナパンダハガーウォール街国際金融のキッシンジャー派だ。
日本はアメリカを一体として考えず、ストロングジャパン派と連携するように分けて考えた方が良い。
もし、ストロングジャパンが力を持つなら、日本は軍事で有利になるだろう。
そもそも国というのは軍事に有利なために作られたものだ。
つまり、戦争に勝てる為に作ったのが国というものなのだ。
逆に言えば、強い軍隊が存在しなければ国ではない。
だから、そういう観点から見ると、今の日本は国でないのだ。
自衛隊があるから辛うじて国らしくなっているが、隣国のシナ朝鮮から見たら馬鹿にしたくもなるだろう。
そうすると、トランプ政権の間に憲法改正して自衛隊をきちんと国家に位置付けるようにすべきだろう。
なお、株式投資から言うと軍事より貿易がどうなるか、気になるが、これはストロングでもウィークでも変わらないだろう。
日本は貿易面では譲歩を強いられるだろうが、それで日本の景気が悪くなる、というようなことにはならないだろうと思う。
その理由は、経済を需要と供給に分けて考えると、そういう結論になるのだが、長くなるのでこの話は又にします。


(私のコメント終)

 

(引用開始)

(見出し)
トランプ大統領、ヒラリーを庇ったコメイFBI長官を解任
  政権内部の敵を炙り出し、陣営を引き締める人事戦略の一環

5月9日、ジェイムズ・コメイFBI長官の解任が発表された。
 FBIはヒラリーの偽証をかばい、トランプ大統領の真相調査の要請には中途藩場な態度で臨んできた。
とくに犯罪者と言っても良いヒラリーへの肩入れは、トランプ政権にとって、国家の中枢であるインテリジェンス機関が機能不全に近いことをあらわす。

 上院司法委員会のグラスレイ委員長は同日、声明を発表し、「過去七ヶ月のコメィFBI長官の言動たるや国民のFBIの有効性に対しての不信を拡大させ、信任を失わせてきた」と手厳しく批判した。

 ヒラリーが国務長官時代に、私的メールでベンガジゲート事件に重大に関与したが、そのメールの公開にFBIは非協力的だった。
 アメリカのメディアは韓国大統領のことより、このコメィ解任劇を一面トップで報じている。

 さて、このFBI長官解任はドミノのように次の人事を形成していくだろうか。

 外交を司る国務省人事を例にとっても、ティラーソン国務長官は指名されたが、副長官、次官、次官補クラスの人事は依然、発表されないまま、世界一の大国アメリカの外交が進められている。
ハト派の巣窟」といわれ、親中派が多い国務省が外交を主導することを警戒するトランプ大統領は、じつに巧妙な人事作戦で、その影響力を低下させているとみると、この人事の意図的な停滞は、むしろ納得がいく。

 事実、トランプ政権発足から百日余。米国外交は「力の平和」を実践するペンタゴンに重心が移行している。ペンタゴンで副長官以下の人事はまもなく発表されるだろうと観測されている。

 ▼最初に人事を全うしたのは国家安全保障会議メンバーだ

 またマクマスター補佐官が率いる国家安全保障会議には反露、反中のタカ派が揃いつつある。マクマスターは先月に副補佐官のマクファーランドをシンガポール大使として、追い出した。

 そのうえで、トランプはマクマスターの推薦に従い、国家安全保障会議NSC)の枢要ポストに共和党系保守主流の専門家3人を新たに加えた。
 三人ともブッシュ政権の安全保障部門で活躍した女性であり、トランプ政権の対外戦略が保守本流路線に復帰することを意味する。

 ブルッキングス研究所上級研究員のフィオナ・ヒル女史はロシア・欧州部長に、ヘリテージ財団上級研究員のリサ・カーティス女史を南アジア・中央アジア部長に、スミスリチャードソン財団上級研究部長のナディア・シャドロウ女史を戦略研究部長に任命した。
これらの人々は共和党保守本流に属し、リアル・ポリティックスの信奉者でもあり、とくにヒル女史は、『策謀家プーチン』という著作でも知られる対ロシアタカ派

 カーティス女史はオバマ前政権のアフガニスタン政策を批判してきたし、シャドロウ女史はかつてペンタゴンの国防政策会議委員だった。氏には『戦争と統治の技巧』という著書がある。

 コメィFBI長官更迭の後任人事はまだ発表されていないが、注目を集めている。

 

 

(引用終了)

(引用開始)

(見出し)
宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成29年(2017)5月11日(木曜日)弐
        通算第5288号  


AC通信:No.641 Andy Chang 
コーメイ氏が罷免されて最も大きな打撃を蒙るのはヒラリーである。
5月9日午後5時40分、トランプ大統領が突然FBI長官コーメイ氏の罷免を発表した。この命令はあまりにも突然でワシントンは震度8ぐらいの大騒ぎとなった。
コーメィ長官はこれまでヒラリーやトランプの調査においてどの政党にも味方しない中立を守ったと何度も強調してきた。それにも拘らず民主党共和党の両側から批判されてきた人物である。

トランプ大統領は罷免の決定はセッション司法長官とローゼンスタイン司法部副長官の推薦によると発表した。
またトランプは司法長官、副長官の推薦状とコーメイ氏の日免状も公開した。
ローゼンスタイン司法副長官の手紙には、コーメィ長官が民主、共和両党から信用されず、このままではFBIの信用失墜に繋がると陳述し、FBIの新しい発展を推薦し、トランプが採用したのである。

ニュースが発表されてメディアは両党の議員と元FBI職員たちからコメントを集めたが、殆どの人がこのタイミングに驚きを隠せなかった。
コーメイ氏はヒラリー台風とトランプ台風の2つの台風に介入し、この両方の台風の目であったため民主党側も共和党側も彼に大きな不満と不信感を持っていたのである

●ヒラリー台風の目

 FBI長官はヒラリーのメール事件その他を調査していたが去年7月にテレビで調査結果を公表し、ヒラリーが十指に余る違法行為を挙げて譴責した。
これらの違法行為はいずれも5年から15年の有罪判決を受けるべきであった。しかしコーメィ長官はヒラリーの犯罪を述べたあと一転して、ヒラリーは「極度の不注意だった。しかし私はこれらが起訴に至るとは思えないと判断した」として不起訴の結論を発表したである。

これは明らかな違法である。
FBIは調査機関であって検察官ではない。違法と発表しながら不起訴と判断したのは明らかな越権である。この結論に共和党は大不満、民主党はヒラリーが選挙を続けられることで安堵したのだった。
 ところが前の記事(AC通信 No.640)に書いたように、投票10日前にコーメイ氏が再びアベディンの夫のパソコンにヒラリーのメールが見つかったとしてヒラリーの調査再開を発表したのでヒラリーと民主党連中はヒラリーの落選をコーメイの所為にしたのである。つまりコーメイ氏は民主と共和の両党から嫌われていたのである。

●トランプ台風

 トランプが当選したあと、民主党側はロシアが去年の選挙に介入しトランプ当選を助けたとして特別検察官の調査を要求している。
コーメイ長官はロシアがトランプを援助したと言う明らかな証拠は見つかっていない、仮にロシアの介入があったとしてもトランプに有利だったかも不明だと発表したので民主党側は彼に不満であった。

民主党側はこの他にもマイケル・フリンが退役後、ロシアとトルコの商売に関与していたこと、フリンがペンス副大統領に嘘を吐いたことなどを追求していた。
民主党側はフリン氏がロシアの恫喝を受けて機密を漏洩をしたかもしれないと主張して調査を要求している。これらはまだ証拠が挙がっていないから憶測だけで、フリンがトランプのためにロシアの選挙介入を助けたと言う証拠はない。

●ヒラリーの調査再開?

コーメイ氏が罷免されて最も大きな打撃を蒙るのはヒラリーである。
コーメイ元長官が去年7月にヒラリーを不起訴と「判断」したがヒラリーの犯罪事実は既に列挙されていたので、コーメイ氏が罷免されたあと司法長官が特別調査官を任命する可能性が出てきたのである。
しかしヒラリーが有罪となって監獄入りするか、どうかは今後の成り行きを見守るほかない。
      (アンディチャン氏は在米評論家)

 

 

 


(引用終了)