本の紹介


(題名)

広宮孝信著「日本経済のミステリーは心理学で解ける」

(私のコメント)

この本は日本経済がどうしたら良くなるか、ということを解説した本だ。
日本の国民が豊かに幸せに暮らすためにはどうしたらいいか、研究したものだ。
ところが、その経済の説明は第一章だけで、第二章以降は人の心について書かれている。
これがなかなかユニークなので紹介する。
この著者は経済問題からなぜ心理学や精神医学にシフトしたかというと、
経済というものは人の心理の集積だから経済学の考えるように合理的にはいかない、ということだ。
国家のような人の大きな集団の経済の事をマクロ経済学というが、これを研究するには経済学では無理で、心理学や脳科学が必要だ、とかんがえられる。
また、経済学のような論理的思考だと逆に全く正反対の議論が普通に学者の間で行われたりする。
数学のように誰がやっても同じ答えにならない。
この著者は何年も前から「国債を増発して公共投資を行えば景気は回復する」と主張している。
過去のデータや論理的な説明によって、彼の考えは全く正しいといえるのだが、残念ながら少数派だ。
主流は日本の財務省がだまくらかしているように「財政均衡主義」だ。
国債発行なんてとんでもない、国の借金で破綻する」というのが政府、マスゴミ、学者などのかんがえだ。
これは全くのウソで、大東亜戦争前夜の新聞が「満蒙は日本の生命線」などとウソを垂れ流していたのと同じなのだ。
当時もそうだったが、エリートの考えは戦前も今も亡国に向かうためのものだ。
だが、経済論争をしていても不毛で、亡国などと非難しても仕方がないので、それぞれ論者のの個人レベルの心理も研究する必要がある。
著者はそれに気付いて経済だけでなく人間の心理も研究することにしてこの本を書いた。

こういうことで個人レベルでも集団レベルでも経済学だけでなく心理学や脳医学、はたまた孫子の兵法などの古典の研究も必要になってくる。
それと、この本を紹介しようとしたのは別に理由があって、それは前回仏教のお坊さんの話を転送したがその内容と関連しているからだ。
つまり「人間の心で考えるのは8割が妄想」「人間の心は8割が無意識分野が占める」などという話が出てくるが、これは脳医学の知識から説明も付くのだ。
仏教や古典は人間の長い経験から全人類、個人レベルも集団レベルも含めて生物学的な感情情動のシステムを知っている。
これを現代の脳医学などを当てはめても十分通用するので、理解するのに役立つだろう。
前に紹介した不動心などの話を補完する意味でこの本の心理学的な部分だけ紹介しようと思っていたが、実際に読みなおしてみると、やはり第一章からやらないと整合性が取れないようだ。
そこで、少し仏教の教えは脇においておいて、この本を経済分野を含めて紹介します。
そのほうが帰って分かりやすく、仏教の話との関連は別途行うことにします。


(私のコメント終)
(目次紹介)
広宮孝信著「日本経済のミステリーは心理学で解ける」
第一章;成長と繁栄を運命づけられた世界経済、限界は常に突破されてきた
マクロ経済学の有り様と個人の有り様が非常に高い共通性があること。
第二章;マクロ経済=人間の集合体の心理、限界突破のための理論的基礎
マクロ経済学を知るためには個人の、自分自身の心理について知る必要がある。
第三章;限界突破のための個人心理(準備編)、否定と肯定で分かるあなたの心と脳の仕組み
否定はストレスを産み、肯定はストレスを解除する。
第四章;限界突破のための個人心理(実践編)、費用0円で誰でも作れる究極の社会基盤作り
自らの限界を突破するための方法論

(本文要約引用開始)
第一章;成長と繁栄を運命づけられた世界経済、限界は常に突破されてきた
(内容を一言で要約すると)
世界経済は破綻を繰り返してきたが、その都度それを乗り越えて成長してきた。
今後も成長を続けるだろう。
その成長を実現するためには、技術の発達と経済格差が少ない社会の2つが必須項目だ。
この2つを実現するためには個人および集団の心理的感情的安定が大事だと考える。
そこで第二章以降を人間精神の安定と完成のためにどうすればいいか検討する。
(あらすじ)
1.経済の動き方は、関係がない宇宙や物理等も役に立つ。
経済は成長するように出来ているが、これは宇宙全体が加速度的に膨張をしていくのとよく似ているのだ。
そして宇宙は膨張しているにもかかわらず中身は薄くならず密度は一定だ。
体積が増えても薄くならないのはどこからか内容が追加されている、と言うことになる。
これは経済成長にも当てはまるのだ。
2.そこで経済成長について科学的、つまり事実をありのままに観察してそれが正しいかどうか検討してみよう。
結論を先に言うと「ある国が破綻した後その国の経済が加速成長した」「多くの国々は何度も限界に達したがそのたびに限界を突破した。」
これはこれまでのアメリカ、イギリス、日本などの経済大国で実際に観察できる事実だ。
3.経済成長とはなにか、と言うと簡単に言えば物質的豊かさの拡大のことだ。
一般的にはそれをGNP(国民総生産)で数値的に捉える。
われわれは130年前の明治時代の人々に比べてだいたい一人当たり20倍以上も物質的に豊かになっている、ということが数字で示される。
しかし、その間日本は第二次世界大戦で50%の落ち込みを経験している。
アメリカは有名な大恐慌で29%の落ち込み、イギリスは第一次世界大戦で21%落ち込んでいる。
しかし、その後度の国も急激に経済発展している。
アルゼンチンなどの経済発展が遅れた開発途上国財政破綻してのち、限界を突破して回復している。
4.上記の各国の経過をつぶさに観察したうえで言えることは財政破綻はこの世の終わりでなく、その後も成長は続く、ということだ。
そこで今の日本の多数派である財政破綻論者を説得するのは論理的な話より感情的な点を考慮しないといけない、と思われる。
そこで、第二章以降人間の感情や心理について解説していく。
(なお、財政破綻論者を論理的に説得するために経済の話が詳しく書かれているが、余り宇宙理論など多岐にわたるので省略します。)


(要約引用終了)